シエリア王子公園 〜普通借地権マンションについて考える〜(神戸市灘区)【神戸犬】

全国的にも珍しい普通借地権マンションであるシエリア王子公園のモデルルームを見てきましたのでご報告します!

出所:物件公式HP


物件概要

  • 所在地 :神戸市灘区水道筋2丁目6番、7番(地番)他
  • 用途地域:商業地域
  • 総戸数等:99戸、15階
  • 敷地面積:1,920.64㎡(建築確認対象面積)
  • 建物竣工:2023年12月予定
  • 引渡し :2024年2月予定
  • 売  主:関電不動産開発株式会社
  • 施工会社:株式会社昭和工務店
  • 設計監理:株式会社都市建一級建築士事務所
  • 意匠監修:杢谷一級建築士事務所
  • 駐車場 :36台(35%) 機械式33台、平面3台 うち1階住戸専用1台、EV充電・来客用1台) 月額使用料:10,000円~19,500円
  • 駐輪場 :198台(戸あたり2台)
  • 土地権利:所有権/普通借地権(賃借権)面積は約半分ずつ
【借地期間】2020年4月2日より40年間 (期間満了後は30年毎に更新可。更新料 不要。)

【借地権の譲渡・転借】可。譲渡の場合:名義変更料不要。貸主への通知が必要。

掲示板:シエリア王子公園ってどうですか?

現地周辺地図(物件公式HPより引用)

総括

  1. ファミリーやシニア層から見ると生活利便性・居住快適性は素晴らしいですね。小学校距離や通学ルート、夜道の安心感も○。日常ルートが平坦地で完結しているため、山手に住んでいる方々の買い替え需要が強いという営業トークは納得でした。この地での生活が具体的にイメージできて永く住みたいと思える方、神戸市灘区・東灘区で新築マンションに住みたいが高すぎてちょっと・・でも山手は不便だから避けたいし初期投資を抑えたい。という方におすすめですかね。
  2. 反対に、転職・転勤・出産・結婚など、ライフプランがやや定まっていない=短期売却も有り得る方には流動性や中古市場における減価等の懸念から積極的にはおすすめできません。安定感がある人向けの物件かと思います。
  3. 普通借地権の一般論、本マンション借地権の特徴を理解せぬまま購入することは得策ではありません。モデルルーム訪問により入手できる冊子と後述の概念でおおよその理解を深めて頂ければ嬉しいです。
  4. 本マンションは長期居住目的での購入を前提としてリスクの観点から気にするべきは、売却時に少なくとも残債割れしないと推測できる時点までのローン返済期間とライフプランとの整合性かと思います。→詳細は最後に書いています。

阪急沿線なのに平坦地!一方、JR駅からはやや傾斜あり

一般的要因

誰もが気になるのは金利と物価の上昇でしょうか。このご時世いろいろな論調があって気になっちゃいますよね。ただ、住宅ローン変動金利論争について有識者意見は固まっているので割愛します。

一昔前と違ってイケイケドンドン気分ではおられませんので、典型的な市場参加者は無理せず堅実的に購入意思を決定すると考えています。


地域分析

典型的な市場参加者は標準的な所得層のファミリーや、山手や海寄り地域からの買い替えシニア層だと思います。それを踏まえ、本マンションと関連が強い地域を神戸市灘区・東灘区・中央区における駅徒歩圏・商業エリア近接の住宅地域と判断しました。

市場参加者の観点から、特に灘区→東灘区(→中央区の東寄り→西宮などその他)の順番で価格の関連性が高いと思います。もちろん、区をまたぐ時は阪急・JR・阪神のどの沿線であるかは重要です。価格相場つかみのエリア範囲の参考に!

周辺の利便施設や交通利便性などはHPに載っているので割愛します。(良いですし、行政サービスも強いですね。)

エリア所感として、昔ながらの有名商店街があり住宅需要が底堅い地域と思います。

灘区の人気エリアはJR六甲道駅・阪急六甲駅を中心とする一帯ですので本地域は灘区内では3番手以降でしょうか。JR六甲道駅と比較すると大阪への交通接近性が劣りますし阪急六甲は住宅街としての品等が高いので、同等のファミリーマンションであれば土地所有権同士で比較しても総額1,000万円くらいの差は軽くつけられそうです。しかし、日常の生活利便性といった観点ではその価格ほどの感覚的な差はつかないかなと思います。そういった意味では現実的なエリアかと思います。

特に筆者は王子動物園が大好きなので、三ノ宮勤務なら初期投資重視でこちらの地域を選びますね。



出所:王子動物園HP。神戸市民と白浜町民はパンダ慣れしている。大学誘致が進んでいるが遊園地は残る模様。

人口推移

ではここでリセールを意識するため、地域についてマクロ的な観点から、神戸市の中心・三ノ宮を含む中央区と灘区の人口増減を比較しておきましょう。



出所:国勢調査を基に筆者が加工

直近5年間において中央区と比較すると、灘区は横ばい傾向が強いですね。

次は灘区に焦点をあて、震災以前から直近までの人口推移を確認します。



出所:神戸市統計書

震災で避難等により激減した人口が都市再生によって回復する様が見て取れますね。やはり便利ですから、人が住み続けてきた・これからも住み続けていく区であろうと推測します。

この点、震災以降の人口動態は区ごとにハッキリと差が出ております。人口減少都市のイメージが強い神戸市ですが「区による」ということですね。あとは三ノ宮が地盤沈下をしなければ(リセール的観点の人口推移において)灘区は大丈夫でしょう。三ノ宮中心部の再開発に期待したいです!


地価動向

続いてミクロな範囲で、細かい人口推移や世帯数よりも近隣の地価動向を住宅地・商業地で2ヶ所ほど見ておきましょう。

神戸市灘区赤坂通1丁目(シエリア王子公園北の阪急線を超えて少しのところ。) 102㎡の住宅地です。


続いて、水道筋商店街フレッシュマーケットのあたり115㎡の商業地です。


予想通りコロナ禍の影響は大してなく、順調に地価上昇が続いております。このままの傾向が続くでしょうか。担当鑑定士のコメントは下記の通りです。

住宅地「地域内には格別の変動要因はなく、今後も現状を維持しつつ推移すると予測する。地価は緩やかな上昇傾向で推移すると予測する。」

商業地「地域要因に特別の変動はなく、今後とも現状で推移するものと予測する。なお、コロナ禍の影響により、地価水準の将来動向については不透明である。」


価格分析(概観)

次に、エリアの平均分譲価格と単価の推移について。

各種情報を眺めると、神戸市の平均価格・単価は2019年から2021年度にかけて相当の上昇基調でしたが2022年度は伸び悩んでいます。肌感ではそんな感じはしなかったので調査上の問題でしょうか。ちなみに京都・滋賀・奈良のデータは肌感通りまだまだ元気いっぱいです。

なお、神戸におけるジグライと建物品等の高い中古マンションの価格は上昇幅の大きさに首を傾げる状態です。

最後にミクロな範囲で、阪急神戸線王子公園駅・JR東海道本線摩耶駅周辺における分譲価格及び単価について。

2020年以降では摩耶駅前の摩耶シティアクシス・摩耶シティブルームとも平均坪約220万円〜でした。価格関連性は高くないですが、本物件北東のワコーレ六甲篠原中町はギリ200万円台で部屋によっては300〜と聞いてます。

また2018年まで時点を遡ればプレサンスロジェ王子公園が摩耶シティと一緒くらいですかね。王子公園駅付近のワコーレが2016年ながら既に200万円台に届こうとしていたと記憶しています。ちなみに最寄りの普通借地権マンション事例はワコーレディオ王子公園ですが2005年物件ですから新築販売価格は参考になりません。

一方、個別分析に踏み込みますと、シエリア王子公園は(直近で値上げしていなければ)最安坪170万円台、中層階で坪200万円前後。総額で4,500万円以下、部屋サイズによっては中層階以上でも4,000万円以下もありますから、時点修正による価格高騰を考慮すると一部借地権であることによる効果が最低でも500万円以上は出ているなと思います。

私なら初期投資重視と、中古の市場参加者の観点から総額を考えて70平米台の下層階を買います。ただし、私が訪問した時点ではD・Eタイプの部屋は売れ行きがよく下層階は残っておりませんでした。Bタイプはファミリー向けではないので、そうすると70平米台(4,500万円以下)で現在選択できるのは西向きのGタイプと南向きではCタイプのみとなっていると予想されます。



出所:公式HP。西向きGタイプ。営業マンの方はタワマンみたいな間取りでおすすめとのこと。廊下少なめ、上層階なら部屋から六甲山が見えるかも?


出所:公式HP。Cタイプ。縦長リビングと居室の独立性で好みが分かれそう。

80平米超のお部屋は5,000万円超ですので中古市場における総額の壁と借地権減価を考慮すると、ここらは売却を考えるというより今の時代にそこそこの初期投資で・この広さと快適性で長く住みたい!というニーズですかね。特に安定感のある方向けだと思います。

なお、80平米超の部屋でもAタイプ・Fタイプの低層階なら大台を超えない模様です。そうすると、Aタイプの方が高いですが私は入ってすぐに手を洗いたいのと角部屋感があるのでAの方が好みですね。一方、Fタイプは間取りがやや特殊であるのと東側マンションとの離隔距離や採光、目線の兼ね合いで価格は抑えめらしいです。逆の観点から見ると神戸市の新築87平米でこの価格はなかなか目にできない。長期安定型でリセールをあまり考えない勢には良いかも?ともにお風呂は1618ですし!(余談ですが、お風呂の広さは私が思う以上に物件魅力を左右すると最近実感しました。)



出所:公式HP。Aタイプ。洋室2の折れ扉はよきだが南の窓の形状は要チェック。各居室に窓があるのはやはりいい。


出所:公式HP。Fタイプ。バルコニーがやや狭い。2〜3人で贅沢に暮らしたい。




両マンションの境目から見上げた写真。そんなに近いとは思わない。戸建てとかもっと近いですよ。


現在、Eタイプは完売、Aタイプは残りわずかとのことです。

(中古マンションの販売事例等は記載しませんが、各自ポータルサイトで本物件の立地やグレードなど諸条件を上回る周辺中古マンションの価格を必ずご確認ください。検討者各自が新築プレミアムを意図的に剥がすシミュレーションをした方がよいと思います。)

個別分析

土地の最有効使用は分譲マンション敷地ですから、地歴・ハザードと本マンションの敷地面積の約半分を占める借地権についてのみ記載します。

私は自分の住む街の変遷を知ることは重要と考えています。選ばれる土地・エリアには歴史あり。


地歴・ハザード

  • 昭和31年からの過去地図を確認しますと過去から現在までずっと店舗兼住戸です。さすが歴史ある有名商店街の一角ですね。西側半分は小割の店舗、東側半分は敷地範囲が広めの住居でした。
  • 昭和後半〜大震災までの期間になると、やや敷地細分化や店舗統合等の様子も見られましたが特段変化なしです。大きく変化があったのは山手幹線沿いです。
  • 震災前後の動きをみますと、不思議なことに本ブロックに被害はなかったようです。周辺は老朽化の兼ね合いか、かなりの棟数がご被害を受けた様子です。

この点、住商密集地ですから気になる方は神戸市中央図書館にて住宅地図 神戸市灘区1995をご確認ください。神戸市の物件を見る際は断層や密集地(火災・延焼)の懸念がありますので1995年の地図は必見です。



出所:公式HP配置計画。密集部分とは距離があります。


ハザードはモデルルームで表示される通り該当はしません。北西まで土石流警戒区域が迫ってますが、ここはエリア外。県の想定最大豪雨・都賀川水系でもセーフでした。(指定されていないから100%大丈夫というものではないですが一応。)

出所:行政ハザードマップ。神戸の山手寄りで全回避は珍しい。


出所: 渡辺満久・鈴木康弘・中田 高(1996): 1:25,000都市圏活断層図「神戸」,国土地理院。断層も直下にはもちろん無し。

借地権

検討者の誰もが気になるところですから、一般論から本件についての個別論の流れで記載します。(長文かつ小難しくてごめんなさい。でも一番気にされると思うので!)

まず前提として、不動産の価格は効用(快適便利な住まい)・相対的稀少性(同じ物件はない)・有効需要(大金払ってでも欲しい人がいる)の相関結合によって形成されます。

そのうえで、借地権の価格は借地権者が土地を使用収益することによる諸利益を基礎としますが、それは「法的利益」と「経済的利益」の両面によって形成されます。

法的利益とは、土地を長期間占有し独占的に使用収益しうる借地権者の安定的利益をいいます。すなわち、借地借家法に基づく①最低約定期間②契約更新性③権利譲渡制度の確立等による、権利の法的安定性をいいます。

経済的利益は特に小難しいのですが、対象土地の適正地代と契約に基づく実際の支払地代との差額(=賃料差額)及びその差額が持続する期間を基礎にして成立する、いわゆる借り得部分をいいます。(厳密に書くと、さらにその借り得部分のうち慣行として市場参加者に認知され取引の対象とされうる部分が経済的利益とされます。)

すなわち、こんなに便利で良い土地なのにこんな地代でいいのですか?と多くの人が感じる時、その借り得部分が認知され、高い経済的価値を生むというわけです。

よって、極論すれば法的安定性が満たさない場合や借り得が認知されない借地権には価格が生じないとすら言えます。この点、残存期間が短い定期借地権をイメージするとわかりやすいのではないでしょうか。

普通借地権マンションの価格が所有権マンションより低くなるのは、流通性の制約、担保価値の減退、遠い将来の土地使用の制約※、地主リスク(将来の地代上昇・一時金発生・更新拒絶)のほか、「よくわからないし所有できないのは何となく嫌!」という心理的嫌悪感が原因ではないでしょうか。(※余談ですが六甲の借地権マンション・六甲ニューライフで等価交換方式による建て替えがあるそうです。)

ということは逆に、上記のデメリットを正しく理解し納得し不安を解消できていれば、心理的減価等を味方につけて初期投資を低く購入することができるともいえます。

ここで検討者が気になるところ、シエリア王子公園の借地権に着目します。

・法的利益について

本件借地権は契約期間40年間の普通借地権であり、期間経過後は以降30年間ごとに更新ですので上記①②は満たします。契約経緯や契約事情等に鑑みると、将来の更新時点において地主が権利消滅のための正当事由を主張しそれが認定されることは極めて困難と思われます。(建物朽廃時など遥か未来の話は別として。)また、本マンションの売却時は地主への通知のみで承諾は不要なので上記③も満たします。

ここで特筆すべきは、契約更新時の更新料及び売却時の承諾料が不要なことです。これらは借地権者の将来の支出であり、また中古売買時の検討者層の購買意欲を低めるものですから、その多寡は借地権の価格に影響を及ぼします。権利の安定性等の観点から必ずしも無い方がいいとは言いませんが今回のケースでは無くて素直に良かったです。酒造会社系や神社系の借地ではこの点、重いものが結構あります。

・経済的利益について

購入者層の観点からして大きなポイントは、①今の地代は地価に対して割安なのか、②将来地代はどうなるのかという点では無いでしょうか。

まず、絶対評価として①についてはマンションデベの商品性の問題とともに、地主側としてもお寺であるゆえに地代設定に制約があったと思います。その点や簡易シミュレーションから暴利ではないと言えます。

次に相対評価として、そもそも普通借地権マンションの地代事例は少ないのですが、東灘区住吉エリアの地価に対して非常に!割安と思われる事例では戸あたり6〜8千円/月でした。そうすると本件は土地の半分が借地で、戸あたり10〜13千円/月ですので、絶対値としては普通なのですが相対的には非常に割安です!とは言えないのが正直なところですね。(敷地の半分の土地固都税も要する点には注意。)

ただし、超単純計算で地代11,500円*12ヶ月*40年間=552万円。これと所有権マンションとの価格差を考えてみるのも面白いかもしれません。例えば初期投資で1,000万円どかんと出るのと、ちまちまと総額600万円払うのと比較してみるなど。借り得を考えるヒントになると思います。

続いて②について、本件では2026年4月1日に初回改定、以降3年ごとに消費者物価指数の変動率に基づき改定となっております。消費者物価指数は最近ホットな記事が続きましたので、詳細は下記HPをご確認ください。短期的変動と長期的推移に着目です。

総務省・消費者物価指数

うっ、と思うかもしれませんが%で考えるのではなく、月額地代に反映してから感度分析することを推奨します!(簡易例:99から104の5%UP→10,000円が10,500円)

総じて、経済的利益については上記の手数料関係のメリットはあるものの、物価高騰の先が見えないこともあり、やや不安になる気持ちもわかるところです。そうした観点からも、資金的に懸念がある方は初期投資重視でお部屋を決定される方が私はベターかなと思います。

ややケチをつけたみたいになりましたが、それでもこのエリアの新築が4,500万円台以下で買えるという点は大きな魅力だと思います。(他はそもそも検討すらできないクラスが多すぎます。)

もう少し借地権減価が欲しかったというのが本音ですが、これより安いと商品総額として安すぎですし、なんとも絶妙ですね。

この点ポジティブに考える要素として、地価の上昇の程度と消費者物価指数の変動の程度を比較してほしいと思います。本来、地代と最も密接に関連するのは地価であり、地主からすると公租公課です。私は正直、地代と当該指数の相関関係は怪しいと思っています。

公租公課は負担軽減措置があり地価の上昇よりは緩やかに変動しますが、消費者物価指数は市場に上昇を抑える圧力がかかっており、また激変措置として政府介入もありますから、場合によっては借り得が増加するパターンもありえるかもしれません。

・・・借地権の分析は奥深いですが文字量の関係もあり他に概ね特筆することはなくここまでに。借地権住戸の取引慣行については灘区・東灘区であればそこそこ成熟していると思います。

建物

さて、最後に建物分析に入りますが、これは外観が気にいるか間取りや設備仕様が許容できるかなどが主要素ですし、HPや検討者専用Pに明記されておりますので大きく割愛し、ポイントだけ感想を書きます。

個人的プラスポイント
  • 外観
  • 戸数規模
  • エントランスや人と車の動線配慮等
  • 設備はザ・普通(床暖房はもちろんなしでIHキッチンの関電不動産仕様)、ディスポーザー良し
  • 専用トランクルームとアルコープ
  • 部屋によるがLDと洋室を区切る可動壁の折り畳み
  • バルコニー奥行
  • 設備の保証期間(ただし、売却時は買主に移転しない。)
個人的マイナスポイント
  • 水回りのみ二重床等、柱位置は少し残念であるが規模性との兼ね合いかな?
  • スロップシンク無し
  • 管理費修繕積立金に規模メリットがあまり出ていない点(20〜26千円で、地代と諸々全合計すると32千円〜42千円)
  • 機械式駐車場。天井高が高い軽自動車などは難があるそうで市場参加者とややミスマッチ感あり。

総じて価格相応という印象です。外観等は竣工しないとわかりませんが、高級感がありそうな気がしますしアプローチはカッコ良いと思います。



こういう所がマンションのよさだと思う。

最後に

私としてはあらためて、長期居住目的で初期投資を抑えつつ、生活利便性や子育て環境を追求したいという方向けの物件だと感じました。

借地権について長々と書きましたが、地代は野菜を近所のフレッシュマート(激安・大人気!)で買うようにすれば差額である程度まかなえる気もします。結構本気で書いてます。

そもそもね、新築・中古とも購入検討者層は借地権について誰もそこまで気にしていないと思うんですよ笑(鑑定評価的にも市場参加者の観点より最も重視すべきは取引事例比較法・・)

借地権の価格と借地権マンションの価格が完全に連動しているわけでもないですし、結局は地域や物件が好きになったか、日々の支払いが大丈夫か、売却時に大幅に損しないかくらいが重要だと思うんです。

でも、借地権の基礎情報を全く知らないまま買うより一応知っておいた方がいいですし、情報の非対称性による市場の失敗みたいなことを少しでも減らす力になれたらと思って筆を走らせました。

住みたい街に住みたいマンションが供給され、それに手が届くということは幸せなことだと思うんですよ。水道筋商店街はかなり頑張っている商店街だと思いますし盛り上げようと頑張っている方々もいます。この環境で子育てできたら幸せだろうなとも感じました。

 

最後に、購入の後押しになれば、ということで総括の4に書いたことの続きですがリスクシミュレーションについて。

まず、シエリア王子公園と関連が強い地域における中古マンション相場について、ファミリー層・山手地域の買い替え層の観点からポータルサイトを眺め又は仲介会社様へのヒアリングを通じて「中古マンションの天井価格」を見定めてください。そして、本物件は借地権であることによる市場性減価がありますから、戸数規模があるとはいえ相応の経年後の価格はその天井以下となる可能性が所有権マンションよりも比較的高いです。(普通借地権という点が中古検討者の想定金利に多少の悪さをする可能性もあります。)

中古マンションの天井価格については、比較的新しく広い部屋なのに総額はそこまで高くない、単価が伸び悩む又は逆転している物件などを見ると把握しやすいかもしれません(総額としての市場性)。また、仲介業者様なら必ず把握しています。

以上を勘案して、少なくともこの価格なら売れると自信を持てる価格まで残債が減るのは返済プランからしていつになるのかを計算し、その時ご自身やご家族は何歳なのか・どのようなライフステージなのかを具体的にイメージし、問題ないと思えるなら良いと思います。

もちろん割引計算の概念は無視してますし、物価変動や不動産価格、人生や環境はどう変わるのか誰にも完全に予想できません。

最後はキャリアドリフトならぬライフドリフトの気持ちで、物件を気に入ったのならドンといきましょう。

 
  • 留意事項
  • ブログスタンスとして、HP等に載っている情報の転記は少なめに考え方や知識の提供を行います。
  • 住居における地域要因は重要事項と考えますので厚めに書いています。
  • 筆者は不動産鑑定士ですが記載する事項は執筆時点における私見であり、情報の正確性・完全性を保証するものではございません。
 

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ABOUTこの記事をかいた人

■神戸生まれ、神戸育ち、神戸住まい。子が複数いる30代パパです。総合不動産会社でマンションデベ以外の仕事をしております。
■売り側と買い側の情報の非対称性を少しでも解消し、購入者の後悔なき選択を後押しする。ことをミッションに兵庫エリアのマンションレビューを行います。
■パパとしてだけではなく、不動産鑑定士兼再開発プランナーの観点から味のあるレビューを心がけています。

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