期待された京都駅西側、その現在地は? 京都駅から歩いて考えてみた
京都駅から歩いた。
目的は、京都駅西側の現在地を自分の足で確かめることだった。
コロナ前、このエリアには大きな期待が集まっていた。
梅小路京都西駅の開業。

ホテル建設ラッシュ。

京都水族館、京都鉄道博物館の集客力。


京都市が掲げた「京都駅西部エリア活性化将来構想」「梅小路エリアのクリエイティブタウン化」。
私は当時、この街は京都でも有数の成長エリアになると思っていた。
ホテルが建ち並び、「京都市中央市場」は京都版「築地」のような賑わいを見せ、京都駅西側の風景は大きく変わる——そんな未来を想像していた。
しかし、その直後にコロナ禍が訪れる。
インバウンドは消え、多くのホテル計画が見直され、街づくりの勢いも一度立ち止まった。
あれから数年。
京都には再び観光客が戻ってきた。
では、期待された京都駅西側は、いまどんな街になっているのだろうか。
期待どおりに成長したのか。
それとも、当時描いていた未来とは違う姿になったのか。
今回は京都駅を出発し、梅小路京都西駅、京都市中央卸売市場、丹波口、そして島原まで歩きながら、この街の「現在地」を探してみたい。
京都駅徒歩圏で計画されるコンパクトマンション
京都駅から西へ歩き始め、最初に向かったのは、タカラレーベンによる分譲マンション計画地である。

塩小路通と西洞院通の交差点。計画地は北西側の西洞院通沿い
現地の開発看板によると、計画概要は延床面積約3,318㎡、地上11階建・全58戸。
単純計算すると、1戸あたりの専有面積は約45㎡前後となる。もちろん共用部を含む延床面積での概算ではあるが、住戸構成はコンパクトタイプが中心になる可能性が高そうだ。
この規模から考えると、広さを重視するファミリー向けというよりは、単身者やDINKSを主なターゲットとしたマンションになるのではないだろうか。
加えて、セカンドハウスや投資目的での取得も十分に想定される。
京都駅徒歩圏という立地は、それだけで希少性がある。
新幹線を利用すれば東京や名古屋、大阪へのアクセスに優れ、京都市内の移動もバスや地下鉄、JR、近鉄を使い分けられる。居住用としての利便性はもちろん、資産価値という観点からも評価されやすいエリアだ。
以前、この京都駅西側といえば、話題の中心はホテルや観光施設の開発だった。
インバウンド需要の拡大を背景に、「泊まる街」としての将来性が注目され、街づくりもその方向へ進んでいた。
しかし現在、このマンション計画を前にすると、デベロッパーが見ている景色は少し変わってきたようにも感じる。
観光客が京都を「訪れる」だけではなく、「京都駅前に住む」「京都駅前を所有する」という需要が着実に育っている。
ホテル開発が落ち着きを見せる一方で、住宅開発が続いていることは、このエリアの価値が観光だけでは説明できなくなってきたことを示しているのかもしれない。
京都駅西側は、観光の街から、暮らしと資産性を兼ね備えた街へ。
このマンション計画は、そんな変化を象徴する一つのプロジェクトに映った。
・京都市下京区油小路木津屋橋下る北不動堂町571番・敷地面積433.843㎡・延べ面積3318.60㎡・高さ31m・11階建・58戸・建築主/(株)タカラレーベン・完了予定2028年3月30日
七条通を西へ。街に再びホテル計画が
京都駅から七条通を西へ歩く。
ホテルMONdayの隣では、第一リアルターによるホテル計画が進んでいた。

堀川通を越え、大宮通へ。
コロナ前、健康食品メーカー・サンクロレラがホテル事業へ参入した。
「あらゆる企業がホテルを建てる。」
そんな言葉が大げさではなかった時代である。

そして、コロナ禍を経た今。
その南では、新たなゲストハウスの建設が進んでいた。
ホテル開発の熱狂は一度途切れた。しかし、この街への投資は静かに続いている。

梅小路公園という、この街最大の資産
大宮通を越えると、梅小路公園が広がる。

私にとっても思い出の場所である。
子どもたちが小さい頃、休日になると何度もここへ来た。
芝生を走り回り、ボール遊びをし、遊具で遊ぶ。
帰り道、遊び疲れて眠った子どもを抱えて家路についたことも一度や二度ではない。
久しぶりに訪れると、あの頃遊んでいた遊具は、安全性を重視した新しいものへと生まれ変わっていた。

私の思い出の遊具場はそもそもこの場所はなかったような気がする
街は少しずつ変わる。
それは再開発だけではない。
家族が安心して過ごせる場所もまた、時代とともに育っていく。
マンションを選ぶ際、「駅徒歩何分」や価格はもちろん重要である。
しかし、梅小路公園が徒歩圏にある価値は、数字だけでは測れない。

梅小路京都西駅が生んだホテル開発
梅小路公園を抜けると、2019年3月に開業したJR梅小路京都西駅に着く。
この駅の誕生は、京都駅西側の風景を大きく変えた。

駅前にはザ ロイヤルパークホテル 京都梅小路。

ザ ロイヤルパークホテル 京都梅小路は2021年3月開業
東側には梅小路ポテル京都。

梅小路ポテル京都は2020年10月開業
七条通にはホテルエミオン京都。
さらに京都 梅小路 花伝抄。

(右)ホテル エミオン 京都は2020年7月開業 (左)京都 梅小路 花伝抄は2022年3月開業
駅開業当時、この駅前には「ポテンシャル」という言葉しかなかった。
観光客が歩き、ホテルが建ち、街並みも大きく変わる。
そんな未来を多くの人が思い描いていた。
そんな折、コロナ禍がやってきた。

コロナ前、ポテンシャルしかなかった梅小路京都西駅前の七条通
ホテル開発は、街をどう変えたのか
「梅小路京都西駅」直結のホテルエミオン京都に入ってみる。
レストラン街を歩いたのは14時27分。
時間帯の影響もあるのだろうが、訪日旅行者の姿はぽつぽつと見かける程度で、館内が賑わっているという印象ではなかった。
逆に目立ったのは、旅行という雰囲気ではなさそうなおばさまグループである。
食事を終え、楽しそうに談笑する姿からは、この施設が観光客だけでなく、地域住民の日常にも溶け込んでいることが伝わってきた。
開業当時に想像していたような、旅行者で溢れる華やかな空間ではない。
穏やかで落ち着いた時間が流れていた。
そのまま七条通へ出る。
目についた変化といえば、新たな賑わいの拠点となる COJICCO(コジッコ) がオープンしていたことだ。

2025年11月1日に開業したグルメスポット「COJICCO(コジッコ)
京都の老舗ラーメン店「ますたに」は本店を無期限休業し、このCOJICCO(コジッコ)に出店し、梅小路店に営業を集約したことで話題になっていた。
しかし、訪れた日はあいにくの定休日。
そのまま京都市中央卸売市場方面まで歩いてみる。
正直なところ、「ホテルができたことで街全体が一変した」という感覚はなかった。
「クリエイティブタウン」を目指す街の象徴として整備された Umekoji MArKEt(梅小路マーケット) の向かいにはクラフトビール店が誕生していたものの、街並みそのものは以前と大きく変わっていない。

Kyoto Beer Labの2号店「KBL THE GARAGE」は2024年4月開業
京都市中央市場はインバウンドで燃え上がった築地にはならなかったようだ。
「期待したほどではなかったのか。」

せりは通常午前5時からスタートし6時前には終了する。その時間帯にどのぐらいの見学者がいるのか検証する必要がある。
そんな思いが頭をよぎった。

モノづくり試作・交流拠点「Umekoji MArKEt」(ウメコウジマーケット)は2022年5月開業
それでも、どうしても「ますたに」が食べたかった私は、後日改めて足を運ぶことにした。
店内に入ると、客は私一人。
「今日は空いているな。」
そう思いながらラーメンを食べ始める。
ところが、ラーメンをすすってる間に旅行者や地元客が次々と入店し、気づけば満席。
店の外には順番待ちの列までできていた。
観光客だけの街ではない。
地元の人も、近くで働く人も、旅行者も、それぞれが自然に同じ店で食事をしている。
その光景は、この街が少しずつ成熟していることを物語っているようだった。
そして、陽が落ちた七条通へ出る。
昼間とは景色が違っていた。
訪日旅行者のグループが飲食店のメニューを覗き込みながら歩く。
ホテルへ戻る人、夕食へ向かう人、街を散策する人。
コロナ前には、あまり見かけなかった光景である。
劇的ではない。
ホテルが建ったからといって、街並みが一変したわけでもない。
しかし、人の流れは確実に変わった。
ホテル開発がもたらしたものは、建物そのものではなく、「夜でも人が歩く街」という新しい日常だった。
京都駅西側の変化は、再開発の完成図ではなく、人の流れの変化として現れていたのである。
梅小路京都西駅と丹波口駅。マンション立地としての違い
梅小路京都西駅周辺を歩いていて、一つ気になったことがある。2019年に梅小路京都西駅が開業し、これだけ住環境に恵まれながら、現在この駅周辺で新築分譲マンションの供給はない。直近では、駅徒歩3分のエスリード京都梅小路公園(2023年2月完成)が分譲された程度である。
(前編)遅ればせながら、エリアのポテンシャル抜群の『エスリード京都梅小路公園/エスリード』マンションギャラリーへ行って来ました。【kyoto1192】
一方、隣駅の丹波口駅前では、総271戸のファインレジデンス京都五条通が分譲されている。
同じ京都駅西側エリアでありながら、この違いはどこにあるのだろうか。
梅小路京都西駅周辺には、梅小路公園がある。
京都水族館や京都鉄道博物館も徒歩圏で、子育て環境としては京都市内でも屈指のエリアと言える。
実際、私自身も子どもたちが小さい頃、何度もこの公園で休日を過ごした。
一方で、日々の暮らしという視点で見ると印象は少し変わる。
梅小路京都西駅前には食品スーパーがない。
対照的に、丹波口駅前で分譲されているファインレジデンス京都五条通の隣にはスーパーマツモトがある。
さらに五条通沿いにはユニクロや飲食店が並び、京都リサーチパークにはスターバックス、TSUTAYA、ケンタッキーフライドチキンなど、普段使いしやすい店舗が集まる。研究開発拠点であるKRPには500社を超える企業・団体が集積し、街としての賑わいも支えている。
北側には公園もあり、日々の生活利便性という点では、丹波口駅周辺に一歩分があるように感じた。

光徳公園、こども用の遊具も沢山有り、トイレ、自販機、道をはさんで交番もあります。
もちろん、梅小路京都西駅周辺にも梅小路公園や京都水族館、京都鉄道博物館という、この街ならではの魅力がある。
どちらが優れているという話ではない。
梅小路京都西駅は、休日を豊かに過ごせる街。
丹波口駅は、休日の豊かさに加え、日々の暮らしを支える利便性も備えた街。
今回歩いてみて、その違いがマンション供給にも表れているように感じた。
そんな違いが、マンション立地にも表れているように思えた。

光徳公園は春が桜が美しく、梅小路公園にも負けてない癒しがあります
島原へ。この街のもう一つの顔
丹波口駅から島原へ向かう。
目の前を駅から出てきた欧米系の家族連れがキャリーケースを引き歩いていく。

駅前の印象とは対照的に、この界隈には歴史ある町並みが今も残る。
かつて花街として栄えた面影を感じさせる建物も点在し、京都駅から歩ける場所とは思えないほど、ゆっくりとした時間が流れている。
祇園ほど知られた観光地ではない。
それでも、この街を目的地として訪れる人は少しずつ増えているように感じた。

最後に立ち寄ったのは、島原の「誠の湯」。

地元の人に交じって、訪日旅行者の姿も見かけた。
京都駅から歩き始めた今回の街歩き。
期待していたような劇的な変化はなかった。
しかし、ホテルが建ち、人の流れが生まれ、その流れは島原のような歴史ある街にも少しずつ広がっている。
京都駅西側は、一気に姿を変えた街ではない。
それでも、自分の足で歩いたからこそ、この街が静かに成熟を続けていることを実感できた。

おわり
[スムラボ編集部より] 本ブログ記事の情報は投稿日時点のものです。現在の販売情報は物件公式サイトをご参照下さい。
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