ドレッセタワー南町田グランベリーパークのモデルルームが公開されてTwitterで色々と話題になっています。
本物件は南町田グランベリーパーク駅に直結するエリアNO1マンションということで注目を集めていますが、定期借地権70年のマンションということで、価格の妥当性が掴みづらいマンションでもあります。
そんな本マンションの価格の妥当性や気になる住戸について簡単にまとめてみます。
尚、モデルルームの情報はハマSHIPさんのツイートを参考にさせていただきました。ハマSHIPさん、ありがとうございます!
ドレッセタワー南町田グランベリーパーク
— ハマSHIP (@hamaship58) April 17, 2022
MR見学してきました。感想は「東急さん、、悔しいよ」です。なおキャッチコピーの「Very berry Surprise」は間違いないことを確認。既に管理費の高さが話題になっていますが個人的見解も含めレポート共有します。既存情報との重複はご了承くださいませ。 pic.twitter.com/5gSJROPLJX
定期借地権マンションにおける価格の考え方
地代と解体準備金
定期借地権のマンションに付きものなのが「地代」と「解体準備金」です。定期借地権マンションは土地を自らが所有するのではなく、地権者に借りることになりますので、その土地代が地代です。また定期借地権マンションは借地期間満了後基本的には建物を解体して更地にした上で地権者に土地を返すケースが大半ですので、解体を行う際の資金を予め積み立てます、その積み立て費用が解体準備金となります。地代は土地によって様々なので適正価格が分かりづらいですが、ここでは新築時の販売価格帯が近い定期借地権マンションだったブリリアシティ西早稲田と比較してみたいと思います。
ドレッセタワー南町田グランベリーパーク/ブリリアシティ西早稲田 *㎡あたりの単価で比較
- 地代 :175円/107円
- 解体準備金:0円/105円
- 管理費 :458円/300円
- 修繕積立金:150円/80円
- 合計 :783円/592円
土地部分の固定資産税
土地は地権者から借りる形になりますので、土地部分の固定資産税が発生しません。先程の地代と解体準備金は定期借地権ならではのコストでしたが、こちらはコスト削減要因になります。実際にどれくらい固定資産税が安くなるのか。ホームズのサイトで東京都23区で50㎡のマンションを購入した際の固定資産税のシミュレーションを見つけましたのでこちらを参考にします。
土地部分の固定資産税は年間49,000円とのことです。これを月単位かつ㎡単位にします。
49,000円÷12ヶ月÷50㎡=81円/㎡
ランニングコストの合計が783円だったので、81円をマイナスして702円/㎡が実質のランニングコストとなります。一般的なマンションのランニングコストは400〜500円/月程度(最近の新築は上がってますが…)なので㎡あたり約200円、70㎡だと14,000円程度ランニングコストが高いマンションとなります。(ここにトランクルーム代とインターネット代4,360円が追加なので実質20,000円程度)
ちなみに20,000円/月のランニングコストは借入期間35年・金利1%・フルローンで借りた場合のマンション価格700万円の支払い額に相当します。
妥当な価格は?
本マンションすぐ裏にある、南町田グランベリーパーク駅徒歩4分、2014年築の「ドレッセ南町田シエルコート」が坪230万くらいで動いています。築年数・駅距離を補正し、エリアNO1のタワマンであることを考慮すると、本マンションが所有権であった場合の価格は坪単価315〜330万程度と考えます。ここでは間をとって所有権だった際の価格を坪単価325万とします。妥当な価格を考えるにあたって、定期借地権ならではのコストを考慮する必要があります。
上でコスト(地代):175円/㎡、コスト削減(土地部分固定資産税0円):81/㎡と計算しましたので、175-81=94円/㎡は定期借地権ならではのコストが発生します。この分はマンション価格から値引いてもらわないと割高になります。
マンションと同じく坪換算すると月あたり310.2円/坪、35年だと13万/坪になりますので、325-13=312万が定期借地権のコストを考慮した価格です。(所有権価格に対し約▲5%)
次に70年後には手放さないといけない、というネガをどう価格に反映させるかです。答えはないのですが、スムログのやまちゃんの定期借地権マンションに関する記事はとても参考になります。
借地期間が長いほどRV面では有利なので、借地期間毎に勝手に係数を設定します。しっかりとした根拠があるわけではないので、完全に2LDK流ですが以下の通りに設定しました。
- 70年:▲5%
- 60年:▲10%
- 50年:▲15%
まとめると以下の通り計算をします。
※70年定借の場合は5%+5%=「10%」、所有権想定の価格より安ければ今の相場からすると合格となります。
- 定期借地権:▲5%
- 借地期間:▲X%(年数によって変化、上記参照)
本マンションは借地期間が70年のマンションなので借地期間の係数▲5%を考慮します。先程の312万から5%を引くと296万になります。(定期借地権:▲5%+借地期間70年:▲5%=▲10%)
まとめると坪単価296万が本マンションの妥当な価格となりました。重要な借地期間による係数がざっくり気味なので当然誤差は発生しますが、大きくハズレてないような気もします。
本マンションの予定価格ベースの平均坪単価は約300万ということで、「マンション価格はほぼ妥当、ランニングコストは高い」という評価になります。約20,000円程度上振れたランニングコストをどう評価するかが重要なポイントになりそうです。
気になる住戸は?
55Bタイプの2LDK(58.07㎡/東向き)になります。3階の予定価格が4,300万円台/坪単価247万になります。(真ん中の4,350万円で坪単価計算)間取り図を見ていないので、あくまでも価格と眺望を元に選んでいます。
本マンションは南向きに単価が盛られ、西と東向きが比較的安いというTHE永住マンション的な価格設定になっています。日当たりも含めた満足度は南向きが高いですが、コスパだけを見ると西・東向きはお得感があります。
さらに東向きは目の前がマンション敷地の緑地部分に当たります。あえて低層を選ぶことで、敷地内緑地を借景することができる魅力があります。東向きは15階くらいまで目の前のマンションが被ってくるので、あえて低層階を選ぶメリットも見出しやすいです。一方で西向き低層はグランベリーパークを向くため外からの視線が気になりそうです。西向きを選ぶなら少し階を上げたいところです。
面積の小さい2LDKを選ぶことで、本マンションのネガの一つであるランニングコストを抑えることができます。「マンション価格はほぼ妥当、ランニングコストは高い」というのが本マンションの私の評価なので、ランニングコストを抑えることで本マンションのネガを低減できます。
ちなみに坪247万というと本マンションの真後ろにある、「ドレッセ南町田シエルコート」の坪230万とほぼ変わらない単価です。定期借地権マンションということを踏まえても、新築・エリアNO1という付加価値を考えると十分買うに値する魅力があります。
本マンションは南向きの3LDKが王道で人気が出るとは思いますが、グランベリーパークに隣接し、駅までもデッキ接続という高い利便性は2LDKを検討してそうなDINKSや子ども1人の子育てファミリーあたりの方だと魅力に感じる方もいらっしゃると思います。
この立地で享受できる利便性はどの部屋でも一緒なので、価格及び坪単価の安い部屋を選ぶことでダウンサイド時のリスクヘッジを行いつつ、利便性を存分に満喫するという選択肢はアリだと思います。少なくとも私はかなり気になっています。
少しでも気になった方は、モデルルームももちろんですが、南町田グランベリーパークに訪問されることを強くおすすめします。東急が気合を入れて作った街の居心地の良さを感じることができると思います。
そしてその南町田グランベリーパークの集大成とも言えるランドマークのタワマンに新築で入居できるチャンスがある、これはある意味ラッキーです。高いランニングコストや増加する修繕積立金など手放しでおすすめできるマンションではないですが、住戸単位で見るとその中でもおすすめできる住戸がありますし、何より、南町田グランベリーパークに住むワクワク感は何物にも変えられません。
尚、定期借地権のマンションは残存借地期間にもよりますが、中古で売却する際に購入の融資が付きづらいという話も聞いたりしますので、購入後即転売で利益を出すような買い方はあまりおすすめできません。しっかりグランベリーパークを楽しみたい人向けのマンションです。(残存借地期間が50年くらいまでは問題なさそうな感じもしますが、銀行の融資スタンスに依存する点はリスクだと思います)
勢いでまとめましたので、計算ロジックにおかしな点等があればコメント欄等でぜひぜひご指摘ください。
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