なぜ名だたるデベロッパーは東山・祇園を選ぶのか。三菱地所レジデンス16戸、住友商事14戸が示す「京都らしさ」の価値〜ウエリス京都清水五条【kyoto1192】

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はじめに

祇園祭[前祭]山鉾巡行の夜、神幸祭


 

八坂神社前の東大路通は、身動きが取れないほどの人で埋め尽くされた。

「ホイットー、ホイットー」という独特の掛け声。

激しく上下し、回転する神輿。それを担ぐ男たち。

昼間のゆったりとした山鉾巡行を、どこか観光気分で遠くから眺めていた私。

しかし夕暮れの神輿は、まったく違う姿を見せた。

掛け声、熱気、担ぎ手たちの息遣い。

その瞬間、京都の祭りが遠い景色ではなく、目の前の現実として迫ってきた。

私はいつの間にか、見る側から、その空気の中にいる一人になっていた。


 

東山では、非日常が日常になる。

祇園祭が終わっても、人の流れは止まらない。

清水寺へ向かう人、八坂神社を訪れる人、安井金比羅宮で人生の別れを願う人。

この街は、一年を通して世界中の人を引き寄せ続けている。

2026.7.28 清水寺


 

その東山で今、ブランドデベロッパーによるマンションやホテル開発が相次いでいる。

今回は五条通から東大路通、そして四条通まで歩きながら、この街が選ばれる理由を考えてみたい。

2026.7.28 八坂の塔


 

 

 

 

 

 

 

五条通から始まる東山

五条通。

交通量が多い五条通に建つ「レーベン京都河原町五条 ONE SUITE」。その先の東山に清水寺が見える


 

以前は、交通量の多い幹線道路沿いのマンションは敬遠される傾向があった。

窓が開けられない。洗濯物が外に干せない。

一本奥に入った、静かな立地の方が価値が高いと考えられていた時代である。

しかし、その常識は少しずつ変わってきた。

高さを確保しやすい大型幹線道路沿いでは新築マンションの供給が増え、バルコニーがなく内廊下や室内干しを前提とした住まい方も一般的になった。

そして京都では、京都駅の存在感が年々高まっている。

かつて中心部から「南へ下るほど価値が下がる」と見られていた五条通も、他府県から見れば違った景色になる。

「京都駅から徒歩圏内の五条通」

それは、地元の感覚とは少し違う、新しい価値である。

五条通沿いの「レーベン京都河原町五条 ONE SUITE」が好調に販売されている事も、その変化を象徴している。

お墓に囲まれたロケーションながら販売好調な「レーベン京都河原町五条 ONE SUITE」


 

 

私自身、その価値観の変化を東山・清水エリアで実感することになる。

2013年、京都の戸建てデベロッパー・ゼロコーポレーションが分譲した「ルーシア東山五条」を見たとき、地元目線の私は「スーパーも少なく、五条通沿いでは苦戦するのではないか」と感じていた。

そして10年後、その向かいには「レーベン清水五条」が誕生した。

それは、地元の実需だけを見たマンションではなく、「京都そのものの価値」に惹かれる人へ向けた住まいに見えた。

左が2024年建築「レーベン清水五条」、右が2013年建築「ルーシア東山五条」


 

 

現在販売中の「ウエリス京都 東山五条通」は、五条坂の入口に位置する。


 

この場所には二つの顔がある。

ひとつは、地元が見る五条通。

交通量の多い幹線道路沿いという日常の風景。

もうひとつは、外から見る五条坂。

京都駅からアクセスしやすく、清水寺へ続く東山の入口という特別な場所。

公式ホームページでも、京都駅までタクシー約10分という近さがアピールされている。

清水寺まで歩けることも含め、この立地は単純な「駅徒歩」だけでは測れない。

京都の外から見れば、

「京都駅から近い東山」

であること自体が価値になる。

外から見る京都と、内から見る京都。

その価値には、ズレがある。

だからこそ、東山の価値は駅距離や交通利便性だけでは語れない。

ここから北へ歩くほど、京都という街が積み重ねてきた記憶は、さらに濃くなっていく。


 

 

 

 

 

 

人生を変えようとする人が歩く道

この街を歩く魅力は、目的地だけではない。

そこへ向かう過程そのものに、この街の価値がある。

安井金比羅宮へ続く路地。

縁切り神社として全国から人が訪れる場所だ。


 

しかし、そこへ向かう人たちは、単なる観光客ではない。

人生を変えようとする人たちが、静かに歩く道。

願いを抱えた人が通る路地には、どこか特別な空気が流れている。


 

少し歩けば八坂の塔。


 

さらに坂を上れば、二年坂、三年坂、そして清水寺へ続く。

東山は、駅から何分という数字だけでは測れない。

歩くことで、歴史や人の想い、この街が積み重ねてきた時間に触れることができる。

だからこそ街の価値は、単なる利便性では語れない。

ここは単なる住まいではない。

京都という街の時間を、日常の中で共有できる場所なのだ。

そんな場所は、京都でも多くはない。

八坂の塔のたもとにある「GESHARY COFFEE 洛」


 

珈琲が2500円から


 

 

 

 

 

 

東大路通はホテル需要と別荘需要、その間にある京都拠点需要か 「三菱地所レジデンス」16戸登場

私は、この東大路通沿いの土地を見た時、ホテルになるのではないかと思っていた。

東山安井交差点、南西の角地


 

理由は単純だった。

清水寺へ続く東山の中心部。

世界中の人が歩く場所。

新たな価値を求めるホテル事業者が目を向けるのは、当然のように思えた。

実際、近年の東大路通沿いでは変化が起きている。

「MUJI BASE KYOTO kiyomizu」

京都・清水で40年あまり営業していた「アメニティーホテル京都」をリノベーションして作られた


 

東京建物によるホテル計画。

八坂神社の南。「ホテルサンライン京都祇園四条」跡地、2019年JR九州が取得のニュースが流れてから月日が流れた。


 

このエリアは、単なる観光地ではなく、世界から選ばれる「滞在する場所」へ変化している。

だからこそ、この場所もホテルになると思っていた。

しかし、発表された計画は違った。

建築主は『三菱地所レジデンス』

計画されていたのは、ホテルではなく、わずか16戸の分譲マンションだった。


 

なぜ、この場所にマンションなのか。

答えは、東山という街の価値が変化しているからだ。

東山で進む開発は、単なる観光需要だけではない。

京都を訪れる人が「泊まる場所」から、京都との接点を持つ「もう一つの拠点」へ。

東山で競い合っているのは、ホテルとマンションではなく、ホテル需要と別荘需要、その間にある京都拠点需要なのかもしれない。

今回の計画は、その象徴とも言える。

地上5階・地下1階・総戸数16戸。

大規模マンションとは対極にある、小規模な計画である。


 

しかし東山では、戸数の多さが価値になるわけではない。

重要なのは、「どこに建つか」。

歴史的景観が残り、大規模な土地取得が難しい東山では、一つ一つの立地そのものが希少になる。

東大路通沿いの分譲マンションは決して多くない。

私が確認できた範囲では、近隣での分譲は2008年の「グラン・シティオ京都東山八坂通り」以来となる。

八坂の塔に向かう入り口に立つ2008年建築「グラン・シティオ京都東山八坂通り」


 

それだけ、このエリアで分譲マンション用地を確保することは難しい。

京都では、駅近や大型商業施設への距離だけでは生まれない価値がある。

その土地が持つ歴史、景観、そして物語。

三菱地所レジデンスが選んだのは、まさにそうした東山の希少性なのだ。


 

 

 

 

 

 

南座隣接地へ。「住友商事」14戸の希少性

東山の坂を下り、祇園方面へ歩いていく。

帝国ホテル京都、花見小路を抜け、南座へ。

2026年3月5日に開業した帝国ホテルと花見小路通


 

南座


 


 

その南座の南側隣接地でも、新たなマンション計画が進んでいる。


 

建築主は『住友商事』

・地上4階・地下1階・総戸数14戸


 

東大路通沿いの三菱地所レジデンスの計画は16戸。

南座隣接地の住友商事は14戸。

どちらも、大規模供給とは対極にある。

しかし、これは偶然ではない。

このエリアは、京都で暮らす人が日常の住宅地として選ぶ場所とは少し違う。

スーパーの近さ。
駅までの距離。
車の使いやすさ。

そうした一般的な住宅選びの尺度だけでは、この街の価値は測れない。

ここを選ぶ人が求めているのは、便利な暮らしだけではない。

祇園の街並み。
南座の灯り。
祭りの記憶。
数百年続く京都の日常。


 

その時間の中に、自分の暮らしを置くこと。

だからこそ、限られた土地に少戸数のマンションが成立する。

戸数を増やすのではなく、一戸あたりに京都というブランドを凝縮する。

それが、東山・祇園という場所の特殊性なのかもしれない。


 

 

 

 

 

 

なぜブランドデベロッパーは東山を選ぶのか

今回歩いた範囲だけでも、

・ウエリス京都清水五条(NTT都市開発)
・三菱地所レジデンス
・住友商事
・東京建物(ホテル)
・MUJI BASE KYOTO kiyomizu

国内を代表する企業が、このエリアに投資している。

理由は明確だ。

東山には、新しい街には作ることのできない時間の蓄積がある。

寺院。
祭り。
路地。
町並み。

そして、八坂の塔、清水寺、祇園、花見小路。

京都を初めて訪れる人にも、一目で「京都」を感じることができる風景が、この街には残っている。


 

 

地元で暮らす人にとっては日常の風景。

しかし、外から見る人にとっては、そこにしかない特別な価値になる。

京都という世界的ブランドを、日常の風景として感じられる場所。

そしてもう一つ。

東山には、土地の供給そのものに限界がある。

希少だから価値がある。
価値があるから選ばれる。

ブランドデベロッパーが見ているのは、単なる土地ではない。

その土地が持つ歴史、景観、そして物語なのだ。


 

 

 

 

 

おわりに

祇園祭、八坂神社前は熱狂に包まれた。



7月24日 祇園祭後祭山鉾巡行が終わった八坂神社。還幸祭は23時からだというのに19時すぎの八坂神社前の階段には場所取りの人々がもう座っていた


 

しかし、祭りの熱狂が去っても、この街を歩く人の流れは途切れない。

その長い歴史の流れを見つめるように、デベロッパーは静かに土地を取得し、新たな価値を生み出している。

不動産は、駅距離や坪単価だけでは測れない。

その土地で、どんな時間を過ごせるのか。

東山が選ばれている理由は、そこにあるのだと思う。

スターバックス コーヒー 京都二寧坂ヤサカ茶屋店


 

 

 

 

おわり

 

 

 

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京都で不動産をしています。 歩いて、見て、書く。たまに街ツアー。 街と物件を見ています。 京都で「暮らす場所」「始める場所」を探している方へ。
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2 件のコメント

  • よこしまねこ より:

    東山安井に三菱地所ですか!ザ・パークハウスシリーズでしょうか?東大路通といえば、一澤帆布でカバンを買いました。お手頃価格で、丈夫なので、ついつい立ち寄ってしまうんですよね。通り沿いに美味しい中華のお店もいくつかありますよね。東山エリア、最高です!

  • つまやまつまこ より:

    東山安井も南座南も、地元民には「住むところ」としての想像の範囲を超えてます。セカンド組にとっては、清水寺とか八坂の塔とか祇園とかが京都のイメージなんでしょうね。

    ウェリス京都東山五条通、いくら幹線道路沿いも避けられなくなったとはいえ、五条バイパスの高架が始まるところの真ん前で、現地に行くと流石に躊躇すると思います。売り切れていないのは、このあたりが理由?

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