今後どうなる!?会社の住宅支援制度について語る【モルモット】

こんにちは、モルモット滋賀です。

家を買わない理由に「会社から補助があって、持ち家になると補助がなくなるから勿体ない気がする」というのがよく挙げられます。

補助がなくなるまで賃貸や社宅に住み、そこから購入が適切なのか、どちらが得なのかという悩みも生まれます。

その答えは会社からの補助詳細、どの物件を買うか、どういう暮らしをしたいのかなどなど人それぞれとしか言いようがありませんが、住宅購入と会社からの支援は切っても切り離せない関係です。

たまに「ウチは賃貸でも持ち家でも同額の補助が出るので買いました」という方もおられますが、「全員に等しく出る手当」なら、実質給与と同じです。給与の一部を手当にすることで賞与や残業代計算の算定から外したり、減額を容易にしたりするという会社側の都合でラベリングしているだけにすぎないパターンがほとんどです。住宅手当があって後から持ち家にも出るようになった!というパターンでも本質は同じです。

そもそもですが、なぜ会社は持ち家がない人に一定のサポートを行うことがあるのでしょうか。その原資を給与にした方が公平ではないでしょうか。今日は日本の企業が提供する住宅制度についてお話したいと思います。

どういう意図で会社は制度を設定しているのか

会社へ提供した労働力の対価は、「貢献の対価」「所属の対価」に分けることができ、合わせて「トータルリワード」と呼ばれます。

 

貢献の対価

基本給

賞与

昇給昇格

退職金

⇒会社への貢献意欲を高めるためのものです。たくさん頑張れば、あるいは能力を身に着ければ上がっていく対価です。

 

所属の対価

住宅制度

人材育成

職場環境

福利厚生制度、設備

会社のブランド

⇒安心して働ける環境を作るものです。個人の成果や能力にはあまり左右されません。保養所は新入社員も役員も等しく利用可能です。

 

貢献:所属はおよそ7:3の割合とされていますが、最近はジョブ型やテレワーク推進に伴い貢献の対価に重きを置く人事制度に改定されることがほとんどです。(頑張る人を応援します!というなのコストカットとも・・・)

「全部貢献の対価でいいじゃないか」とお思いになるかもしれませんが、所属の対価がなければ人は安心して心地よく働くことができません。高い給与を成果に応じて払ってやる!オフィスは自分で借りろ!勉強は仕事に使うものでも自腹だ!という環境は合う人には合いますが、私はご免こうむります(将来が不安で死んでしまいます)。生命保険のコンサルタント(営業)などは仕事で使う専用PCすら会社にお金を払ってリースします。しかし、結果を出せば社長より稼ぐことも不可能ではありません。これは好みの問題ですが、会社は安心できる環境を提供することで、多くの方の能力をより発揮できるように環境を整備するのです。

日本企業は会社都合解雇はめったに行いませんが、会社にとって不要な人材に対して「冷遇」することは結構強烈に行います。総合職の名のもと、転居を伴う異動を頻繁に行ったり、昇給幅を抑えたりします。能力給で年齢とポストが比例していく中、「あいつは万年係長でついに新入社員教育した部下に抜かれるらしい」という目も、結構日本独特の文化です。ジョブ型であれば「あいつはこの仕事をしていて、当時の新人はあの仕事なんだから給与も権限も違うのは不思議じゃないだろ?」という考え方であり、「抜かれることが恥」みたいな価値観はゼロでないにしても少ないです。

 

話を戻しまして、住宅支援制度は所属の対価にあたります。

大元を言えば交通費に近い感覚です。

会社で働いてもらうのだから、そこまでの足代は出そう。と同じように、会社で働いてもらうのだから、親元離れて暮らすのであれば生活費を出してあげよう。ということです。そうすることで実家が遠方にある方も安心して就職して働くことができるというわけです。

また、こうしたサポートを行うことで、東京の会社でも地方の優秀な人材を獲得できます。交通費と考えたらわかりやすいです。交通費を出さない会社であれば、近所の人からしか人材を発掘できません。

こう考えると「なぜ持ち家手当がないのか?」がしっくりくると思います。実態は各社それぞれですが、住宅支援制度は「それがないとこの会社で働けない」人を救うためのものであり、資産形成のためではないと言うのが大元にあるためです。新婚時の社宅は過渡期を助けますよぐらいなものです。

ちなみに当たり前にもらっている交通費ですが、これも所属の対価であり支給する法的義務は何もありません。海外だと支給されない方が多いため、「日本はいいよね。自分の都合で遠くの家に住んでも定期代を出してくれる。通勤時間はともかく都心より田舎で大きな家建てた方がお得じゃん」というようなことを言われます。柔軟な発想ができる企業では住宅手当を「会社近隣3駅以内に住むのであれば」など条件を付けて支給することもあります。住宅手当がない企業では、あるいは遠方に会社所有の寮だけがある企業では「これだけ交通費出すなら住宅手当出してくれよ!交通費の分だけでいいからさ!誰も損しないだろ!?」と言いたくなりますが、実際にそれを形を変えて行っている企業もあるということです。

ここまで「住宅手当」という言葉を使いましたが、実際の住宅支援には手当として給与に上乗せする以外にも方法があります。それをご紹介していきます。

 

住宅支援の種類

現物社宅

実物社宅は、企業が固定資産として保有している独身寮や社宅のことです。 「会社から近いがボロい」というイメージがありますが、普通に通勤1時間以上かかる物件もあれば、コスト度外視の新築まであり、企業カラーが良く出ています。

 

実物社宅のメリット

・給与課税されない

「お金」で渡すと、もれなく税金や社会保険料がかかります。社会保険料は会社側にも半額ちょっと負担義務があるため、コスパは悪いです。実物社宅であれば、「現物支給」ということになり、多くの場合で無税、あるいはわずかな課税しかありません。(なお岸田)

・会社の意向にそった住宅を提供できる

現物社宅を用意する会社は、その社宅に何かしらの意図や意義を持たせていることがあります。例えば、若いもの同士で先輩後輩も含めつながりを作ってほしいとか、普通は集合住宅の提供などありえないド田舎の工場に車がなくとも通勤できる立地に住んでもらいたいとかです。食事を提供することもあります。これは健康な食事を提供することで仕事でパフォーマンスを発揮してもらうためです。交替勤務では帰りが深夜になることもあるため、提供がないと食事を抜いたりすることもあり得ますが、あるんだから食べなよ!として、職場で健康でイキイキ働いてもらう健康経営の意味合いも住宅支援を通じて提供できます。

 

・柔軟な利用が可能

実物社宅は会社の持ち物ですので、どう使おうが自由です。例えば、空き部屋はコロナ隔離部屋として利用したり、インターン生に1週間だけ使わせたりできます。海外転勤から戻ってきた人をとりあえず入れる、てことも可能なわけです。転居時のサポートとして、管理人さんが受入を行ったり、荷物を部屋まで運んでおくということもできます。通常の賃貸ですと、契約があるので短期間利用は難しいですが、実物社宅であれば自由に運用が可能です。

 

・飲食やコミュニティの提供も可能

先ほども記載した通り、従業員同士のつながりを意識した設計にすることができます。麻雀室や筋トレルーム、会議室などの共用施設を設ける物件もあります。

特に独身寮ですが、レストランがあり、わずかな費用で食事を提供することもあります。健康でいていただくのは会社にとってもプラスなのでカップ麺ばっかり食べてフラフラで仕事されるより全然いいのです。「実家から通えないハンデ」を補うのであれば、実家で世話してくれる両親の代わりを用意するのは理にかなっています。

 

デメリット

・住居選択の自由度が低い

当然ですが、現物社宅の中からしか選べません。いや、複数選択肢があったとしても選ぶことはできないでしょう。「もっとお金を出してもいいからきれいな物件がいい」「育児の都合で会社から近いところがいい」といってもかなえてくれません。「嫌なら全額自腹で自分で探せ」で終わりです。場合によっては配偶者の反対にあい、現物社宅への入居を諦める人も多いでしょう。意外にも社内結婚で現物社宅に住む人は稀です。確かによく考えたら嫌かもしれません。

 

・自治管理の可能性がある

分譲マンションのように長谷工コミュニティのようなプロ組織が運営してくれるとは限りません。多くの場合自治管理となり、ゴミ捨て場の掃除や不審者の警戒、修繕計画など幅広い業務を担うことになります。会社文化により社員が行うのか、専業主婦が多くなるような転勤ありの大手金融では奥様方が組織を作って運営することになります。もちろんそこはさまざまな噂が飛び交い、やれ誰々さんのゴミが・・・とか、旦那さんの評価が・・・など狭い村社会が形成されることもあり得るでしょう。

住民が社員というのはある意味安心です。犯罪者や異常なクレーマーなどは通常存在しません。立場があるのでみんな気を遣っています。でもその気遣いが嫌だというのはとてもよくわかります。専業主婦の立場なら「あの奥さんは旦那の上司にあたる●●さんの奥様だから必ず挨拶はするように・・・子供の話題には気を付けて・・・」などの暗黙のルールは息苦しいと思う人もいるのではないでしょうか。

転勤がそこまでない製造業の社宅だと、年齢層が結婚5年以内などほぼ一定で役職も差がないので割とドライだったりします。

全国転勤前提の大手金融ですと配偶者が専業なことが多く、コミュニティが形成されやすい傾向にあります。

 

・来客制限

独身寮は水回り共同も珍しくありません。掃除の手間なく大浴場につかれるのはメリットなものの、気持ちが休まらないという方も多いでしょう。そして社宅はともかく独身寮で社外の人を招き入れることは基本禁止されています。引越しの際の家族や同性の友達ぐらいならまぁ、目くじらたてて注意する人はいないでしょうが、異性はまずいと思います。トイレいけないし・・・。と思っていたら朝出勤時に自然と女性がエレベーターに乗り込んできて、あまりのナチュラルさに「あ、おはようございます」と挨拶したことがあります。

 

現物社宅の紹介

伊藤忠

18年ぶりに独身寮を「あえて」復活。従業員同士のコラボレーション強化を狙う。そのため新入社員は実家から通えても入寮が必須になっている。

ここまでやるのだから設備は超きれい。サウナまでついているというから驚き。格安で栄養士が慣習した食事も頂ける。

いつまでもいたいが入居期限は4年と短めにして「長老」「ヌシ」がでないようになっている。というかそれ以降は海外勤務などが中心になるから必要ないそう。

伊藤忠サイトより 外観おしゃれすぎですよ


伊藤忠公式より なんと内廊下 流石にアルコーブはない


伊藤忠公式より 共用施設まで充実


伊藤忠公式より もちろん駐車場は平置き 利益度外視建物の暴力


会社によってはオンボロ独身寮に単身赴任者を住まわせたりしているが、大浴場で部長クラスのおじさんが体洗ってるのを見ると「将来出世してもここでこの暮らしか・・・」となるのでやめた方がいいと思います。

シマノ

自転車のギアや釣り具を手掛けるメーカー。独身寮にはロードバイクを立てかけて保管できるスタンドを完備。ロードバイクは外に放置できないし、自立するスタンドもないから独身寮暮らしでは困るのですが、自転車通勤者が圧倒的に多いだけあって考慮されています。

社宅も恐ろしくきれいでシンボリック。分譲マンションのようなコスト制限もないのでやろうと思えばいい建物が建てられて、会社のメッセージも伝えられるいい例です。

シマノ公式より これが・・・独身寮?


シマノ公式より 自転車ラヴァーが多い会社だからこその心遣い溢れる設計


シマノ公式より 社宅も超デザイン これを分譲でやるとなったらどれだけ高くなるか


 

とある金融、製造業

よくない社宅ですので社名は出しません。

会社からも駅からも遠い上に建物は「団地」そのもの。間取りは3DK、ダイニングキッチンから和室につながる廊下がない効率的な間取り。1Fは虫が多く水回りはバランス窯のレトロ仕様。

恐ろしいことにこのバランス窯が壊れたら、どんなに高くても新しいバランス窯にて修繕される。本末転倒でしかないが、平等や公平性を意識したJTCにはよくあることです。奥様も「早くここを出たい」と強く願うため、住宅財形より持ち家保有率に貢献しているかもしれません。満室だと借り上げ社宅になり、「不公平だ!!」と声があがりますが、会社が徹底してれば選ぶ借り上げ社宅も同じぐらいボロいのをわざわざ探してきたりします。

イメージ画像 大手一流企業でも社宅はこれぐらいなこと 珍しくない・・・

住宅手当

単に給与に一定額を上乗せして支給する制度。現金なら勝るものなし。

 

メリット

・自由度が高い

その金をもってどこに住むのも自由。ボロに住んで浮かしても良いし、足しにして豪邸にしても良い。従業員からもウケがいいです(採用に繋がる)

 

・管理負担が少ない

会社からしても給与に乗せるだけで楽ちんです。実物社宅は総務の担当者がメンテや修繕をする必要があり、「エレベーターが止まったの!!」と連絡があれば急ぎ対応する必要があります。老朽化すれば立て替えや取り壊し、壊したなら住んでいる人はどうするのかなど考えることは山積みですが、手当ならそのような手間はゼロです。

 

デメリット

・給与課税のため経済的価値は付与しにくい

前述の通り、会社が払った額に対して従業員が実際に受ける価値は課税の関係で少なくなります。(なお岸田)

育児の際の「年収いくら以下ならこのような補助があります」みたいなのにも影響します。

また年収に入る都合上、平均年収を押し上げる効果があり、「お!いっぱいお金くれる会社だな!」と誤解しやすいです。実際は住宅手当毎月5万より、現物社宅に月1万で入れる方が可処分所得は相当大きくなります。

 

・住宅選択をサポートする機能がない

新入社員や中途社員、転勤者に対しても「家?あなたで探してください。会社は何もできませんよ」と言うしかありません。そのあたりの負担を従業員に押し付けることになります。海外勤務からの帰国時などは慌ただしくなります。

 

・初期費用を負担できない

毎月一定額を払うので、賃貸契約時にかかる敷金礼金引越し代などは出ません。一定の条件を満たせば出してくれる会社もありますが、まとまったお金がかかってしまいます。

 

住宅手当は制度としては人気で「社宅廃止して手当にしてくれ!」という声も多いですが、従業員からするとあまりうまみのない方法です。会社からすると楽ですし、見た目の年収アップにもなるので有利です。ですが可処分所得の大小より自由度を求めるなら住宅手当がベストになります。

 

借り上げ社宅

会社が民間の賃貸を契約し、従業員に又貸しするような形式です。従業員からは自己負担額を徴収します。大抵は上限XX万円で20~50%をもらう感じでしょうか。何でそんな面倒なことを?と思うかもですが、双方メリットがあります。

 

メリット

・給与課税されない

現物支給扱いとなり、よほどのことがなければ課税されません。

現物支給額は都道府県ごとの指定値×平米数なので、広い物件はされがちですが、それを上回る自己負担額があれば非課税です。指定値はとても低く、ざっくり8~9割会社負担でもない限り非課税で、課税されたとしても稀です。

 

・住居選択の自由度をある程度与えることができる

さらにどの物件にするかを自由に選ばせることができます。住宅手当の(ほぼ)上位互換です。

会社によっては、エリアや広さを指定したり、この3つから選べといったようにある程度の縛りを与えることも可能です。そこは会社の意図を反映させることができます。この設計度の高さが魅力です。

 

・初期費用を会社持ちにできる

契約者は会社になるので個人として面倒な契約書のサインは不要。敷金礼金も会社持ちになることがほとんどです。どんだけ金銭面的にお得なんだ!

 

・転居時のサポートも可能

そしてさらに会社があらかじめ「ここ契約しとくで!」ってことにして手続きができるので、転勤者や海外帰任者、新入社員へのサポートもばっちり。本人には鍵を渡すだけでOKです。

 

借り上げ社宅最高じゃないですか!

これだけ最高でも住宅手当のように年収に反映されないので、そのメリットがわかりにくいのは欠点です。会社によって自己負担額や選択の幅が異なるので面接で細かいところまで確認しておきたいです。そして、「これってなんかずるくない?」とも取り上げられがちで、課税の在り方については度々議論されています。

 

デメリット

・契約の手間が大きい

従業員1人1人の契約を行うのは並大抵ではありません。仲介会社とやり取りし、条件を揃え、膨大な契約書に捺印し、書類のやり取りをし、更新時にも手間が発生します。振込先や金額も整えて経理に依頼します。転勤シーズンは大量に契約書が溜まり、中には「住む人たち全員の氏名、生年月日、緊急連絡先を記入してね」「そいつらのハンコもほしい」という会社でも把握してない情報を求められ確認に時間を要します。契約内容も精査してどこまでが会社負担なのかや、諸費用(部屋に消臭スプレーして4万円など)に問題ないかをチェックします。

 

・会社の施策に家主など第三者が介入する

これは強烈なデメリットです。特に自由に物件を選ばせる場合、大家さんがうるさい場合があります。法人に貸すなら審査がどうだとか、敷金礼金をアップしてやるぞ!とか、外国人は法人でもダメだ!とか契約の土壇場でワーワー言われると担当者は困ります。いきなり家賃を上げてきたり、「海外転勤から戻ってきたので立ち退いてほしい」といった身勝手な行動をとる大家さんがいます。そうなれば総務人事担当者は大家に個別で「バカいってんじゃねえよ普通借家だろ?」「出るとこ出るか?」とバトルする羽目になり、めちゃくちゃ面倒です。不動産に詳しくない担当者だと「法人契約でお金にゆるいから何言っても大丈夫」とカモってくる不動産屋も多くて怖いです。

災害などで窓ガラスが割れた!なんとかして!というときも契約者である会社の担当者が表に出る必要があります。総務人事担当者はそういう災害時ただでさえ忙しいのに従業員からの「バルコニーの隔て板が台風で壊れたのに管理会社が相手してくれない!隣のおっさんが侵入できるの危ない!なんとかして!」という声にも対応しなければなりません。そしてこういう時の管理会社は頼りなく「いやあ・・・大家さんが隔て板修繕の見積高すぎ!自分で探してくるから待ってろ!と言ったきり反応がなくて・・」などぼんやりしてる間にも「会社は従業員の安全をどう考えてるのか」みたいな組合からの突き上げもありダルいです。第三者が介入するということはそういうことです。1件1件は人生に何回あるのかというレアケースでも、社員全体で見れば日常的に発生することになります。

 

・会社によっては自由度が低い

好きな物件をスーモで選んで~という寛容な会社もあれば、指定の不動産屋を使え!だのこのエリアから選べ!だのDINKSは広さは50平米までだ!だのよくわからない縛りをつける会社があります。というか会社で「この部屋借りたから住んでね」と自由度ゼロの場合すらあります。上述のようなめんどい契約やトラブルはご免なのでほぼ固定にしてずっと借りているケースも多いです。

 

・所有物件のように扱う

企業規模が大きいとマンションまるごと借りて所有社宅のように扱うこともあります。建物の8割は社員、2割ぐらいは一応他の人も住めるといういいのか悪いのかわかりにくい形態になっていることも。そうなると「借り上げの自由さ」とは遠くなるかもしれません。

 

借り上げ社宅のデメリット、よく考えたら総務人事担当者がしんどいだけで従業員には基本関係ありません。手間暇かけて従業員にとって得になるようにしてくれていることに感謝してください(迫真)

会社によっては手間を削減するために借り上げ社宅管理会社みたいなのを会社で利用している場合もあります。便利そうでいて「物件探しはこの管理会社経由でお願いしてね!」みたいなことになって従業員側からすると利点はありません。運よく借り上げ社宅を利用できる方は担当している方へ感謝しながら帰宅しましょう。

 

住宅支援と税金

「手当には税金がかかる」ということをもう少し掘り下げます。

課税前給与450万円で、住宅手当50万円、家賃が年間100万円の家に住む場合と、家賃が100万円で本人負担が50万円の場合を比較すると、税メリットはざっくりおよそ15万円となります。

個人としては経済的価値が15万円も減るが、会社としては住宅手当は以下のメリットがあります。

・「平均年収」を高く見せることができる(住宅手当は平均に入るが、現物支給は入らない)

・管理コスト削減

 

持ち家手当と賃貸住宅手当が同額の場合は、総額が同じなら基本給を削って算定基礎(賞与や残業代単価に影響)を減らし、景気が悪くなれば減額も容易と会社側にとってメリットはありますが、従業員側からは「みんなに配るならもう基本給にしてよ」と言いたくなります。

基本給30万円の会社で働く社員が「いいよな、住宅手当5万円ももらえて」と基本給25万円の会社の社員に言うのは不思議です。お金に色はないといいますが、渡し方で手元に残るお金は変わるのが日本の法律です。それはおかしいんじゃない?と今岸田さんが公平に課税すると報じられていて、皆さんの期待が集まっています。

 

株式会社ZOZOの福利厚生

すごく面白い給与体系をしているのでついでに紹介します。

元前澤さんが社長を務めた大手アパレルECサイトです。イメージ通りすごくキラキラした制度になっています。

・住宅リモート手当 毎月5万円 全員支給

・千葉手当 本社がある千葉の指定エリアに住んだら毎月5万円

・通勤手当は新幹線も飛行機も対象

・半年ごとに2500円ずつ増額されていく日々進捗手当 上限毎月10万円

⇨これだんだん上がってきたらもう辞めようって思いにくくていいね!と思いますが、まぁ年5000円の定期昇給ですね。

・扶養家族手当 5000円(これだけ謎に普通)

 

「なんて素晴らしい会社だ!!」と思います。

ただし基本給は固定で20万円です。残業代も基本給で計算されます。

賞与も基本的に全員同じです。成果はみんなの成果という考えです。

昇格はどうなるの?ということですが、基本給+役職手当のようなものがあり、それが係長レベルなら8万とか、色がついて実質ジョブ型みたいな要素が入っています。

すごそうに見えて年収にしたら、年齢にもよりますがまぁ大卒平均ぐらいです。色々全部込みで400万〜600万円ぐらいです。

結局プライム上場企業としては「そんなもん」なのですが「すごく気前がいい会社」に思えてきますよね。こういうトータルリワードの配分を調整してPRを考えるだけで求人力は大きく上がります。

 

制度を取り巻く環境の変化と改革の必要性

挙げてきたような住宅支援は変化を求められています。

報酬制度改革からの要請

若手は貢献度が低いため所属対価に重きをおいていたが、そういう時代ではなくなりつつあります。

労働の質に問わず支給される所属の対価は不公平と考える人が増える⇒貢献が重要に(ジョブ型 成果主義が浸透)

トータルリワードの中で配分を変えていくことになり、所属対価の代表的存在である住宅支援にとっては逆風です。

会社の吸収合併があると貢献と所属のバランスをとります。住宅支援は個々の会社で差が大きく、変化の対象になりやすいです。その際は貢献重視の制度に改革されがちです。

人材や価値観の多様化の反映

日本企業の福利厚生というのは「こうして生きなさい」というレールをサポートする役割がありました。

・年功序列のカバー(若いうちは給与低いから手当で補う)

・ステレオタイプの影響(30歳ぐらいで結婚して子供ができて家を買うことが前提の制度 住宅手当、財形貯蓄制度⇒持ち家支援提携ローンなど)

・福利厚生でモチベーション向上

・人的資源の管理⇒人的資本への価値創造へ

多様な人材をカバーする制度への移行し、レールをサポートする時代は終わりつつあります。

意識改革まで含めた「当たり前」を変えていくことが必要になっています。

そう考えると、「配偶者が扶養対象なら配偶者手当支給」がいかに時代錯誤か感じます。少し拡大解約すれば、「結婚していて相手より収入が高いなら、世帯主とみなす。なのでこの社宅に住んでいいよ」というのもおかしく感じてきます。

コロナ禍における事業環境・就業環境の変化

在宅勤務、フレックス勤務、ビデオワークが急激に普及しています。コロナで20年分のIT革命が起きたとされています。

それに乗じて、「働く人のニーズの多様化への対応、機会の拡大」が促進されました。オフィスの縮小や通勤圏内に居住する必要のない雇用形態の設定を行った企業も珍しくありません。

「時間や場所にとらわれない働き方」はコロナ後も残るとされています。「在宅勤務可」は「会社の近くに住むために会社が補助します」に変わる「所属の対価」になりつつあります。住宅手当数万円配るより、在宅勤務可の方が人が集められる福利厚生となれば、企業はその方向へスイッチしていきます。

住宅支援制度は「オフィスで一律勤務していることを前提に勤務地や居住地を基準として付与する」という内容であることが一般的であるため、「時間や場所にとらわれない働き方」とのバランスで調整されることになります。

 

在宅勤務で生産性ガー!GAFAも出社を~!とかはここではずれた理論です。生産性が落ちたとしても、在宅勤務がしたいからという理由で優秀な人間が安い賃金で勤務頂けるなら喜んで会社は在宅勤務可にします。逆をいえば、「在宅勤務したいので禁止されているこの会社は辞めます」という人が増えてくれば慌てて在宅勤務可にしてくることもありえます。たとえ年収が安くとも、家族の近くや、自分が住みたいリゾートエリアから仕事ができるならそっちの方が人生の満足度が上がると言う人は少なくないと思います。

私たちは、住宅支援制度に対して、これからの時代に合わせた柔軟な対応が求められると言えます。

 

私たちはどうするべきか?

予測されること(現に今進んでいること)は以下の通りです。
  • 住宅支援制度の対象は転勤者のみになっていく(福利厚生ではなく事業上の経営判断としての適用)
  • 転勤そのものが減っている。廃止する企業や離職を恐れて若手には適用しないケースも増加
  • 同一労働同一賃金の問題もあり、住宅支援制度はやり玉にあげられやすい
  • インフレ下で家賃が上がっても大抵は手当類は比例して上がることはない
  • 配偶者手当が廃止され、育児手当になっていくように、住宅支援制度は時代遅れとされる
住宅支援制度はなくなっていくのでしょうか? 基本給に組み込んでしまえば公平でOKという風潮は強くなるかもしれません。

廃止した原資を成果給として重要な従業員に厚く割り振る、例えば需要が高い職種はジョブ型にして好待遇で迎えるなどになるかもしれません。日本ハムはあらゆる属人的手当を廃止して全て基本給に振り替えることが労使で可決されました。

ですが、全国転勤が必須な会社であれば住宅サポートは必要ですし、人里離れた地域に工場を設置する場合などは職場近接の社有現物住宅が適していることに変わりありません。

世の中のトレンドに応じて、自社の人材に対するベストを探す視点で今後もこういった福利厚生制度は変わっていくことでしょう。 福利厚生の面白いところは、単にかかった費用を上乗せして給与払いするより、ベネフィットが高まることがあります。同じ量のお金を、どういう使い方するかで、単にそのまま現金支給するより従業員の満足度を上げることが可能なのです。

最近は育児支援に力を入れる企業が増えているような気がします。離職を防ぐだけでなく、大学生からしても「この会社でなら出産育児を経ても働けそうだ」と思ってもらえば人材獲得に大きなプラスです。 全国転勤上等のメガバンクが人気ないのは当然です。

 

会社に頼らない住まいの確保を見据える必要はあります。いつまでもあると思うな、住宅補助。

制度が変わらなくてもM&Aなどで会社ごと変わる可能性は大いにあり得ます。大企業でもなんとか部門を切り離しというのはよく聞きます。

地域の物件相場を知っておくことは重要です。「補助がなくなったから家を買おうかな~」では遅いです。価格推移やローンを組んだ時の毎月負担、必要な諸費用など、色々な知識が必要ということに気が付き、急には買えないことでしょう。でも補助のリミットがあるので慌てて納得がいかない物件を購入するのは避けたいものです。

だから今すぐ買うわけではなく、アンテナは張っておくことを強くお勧めします。 休日のレジャー感覚で最初は結構!資料請求やモデルルーム訪問にも行ってみてください。営業担当者と話す中で、いい意味で購入という選択肢も出てくるかもしれません。

「会社から40歳まで補助がでるからそれを使い切らないともったいない!」と必ずしも言えないことも多々あります。特に家族のことを考えると、「今この時期にこの地域で子育てがしたい」「狭い社宅より広い庭で遊びたい」というプライスレスな価値観があることに気が付きます。

 

滋賀県おすすめマンション

下記に滋賀県おすすめマンションを紹介します! 他府県の方も滋賀に遊びに気がてら、モデルルームを訪れてみてください。「案外滋賀いいかもよ」「京都も素敵だけど毎日用事があるわけじゃないしな~」「値段と広さは正義」など気が付くことも多いはずです!

 

石山駅前プロジェクト(勝手に名前をつけました)

新快速駅徒歩1分 空前絶後の1000戸超えの大規模 敷地内商業施設新設

もし東京にあれば祭り必至の巨大プロジェクトです。 石山駅北側は工場だらけですが、ついに再開発が始まりました。北口は商業施設がコンビニすらなかったのですが、新たに作るというのは素晴らしいことです。まだ詳細が全くありませんが、続報入り次第取り上げます!(現在解体〜建築許可申請中との噂)





半導体工場跡地だしなんだかな・・・周りも工場しかなくてさみしいし・・・という方は住宅や商業施設が多い南口徒歩5分のエクストラマークシティ大津石山をおすすめします!こちらも値段、立地、仕様のバランスが取れたいいマンションです!

エクストラマークシティ大津石山(ユニーブル大津石山)をご紹介!貴重な石山駅大規模物件!【モルモット】



 

瀬田駅前街区マンションプロジェクト

公式サイトより 瀬田駅前にランドマークマンション誕生


瀬田駅前街区マンションプロジェクト
瀬田駅徒歩3分の立地に252戸のビッグコミュニティ誕生です。 瀬田駅は新快速は止まりませんが、商業施設や学校も多く生活利便性の高い駅です。 滋賀が誇るバスケットボールチーム「滋賀レイクス」の現在のメイン競技場「滋賀ダイハツアリーナ」からも近いです。


 

引き渡しは2025年7月を予定しています。 瀬田駅のランドマークマンションとなることでしょう。似たような穏やかで滋賀らしい街並みの駅で膳所がありますが、膳所は駅から少し歩いたにおの浜が居住区なので駅近を希望するなら瀬田はありです。

 

シャリエ大津膳所

シャリエ大津膳所膳所駅のマンションは基本におの浜にありますが、本物件は商業地域、琵琶湖沿いを少し離れ線路沿いに建築される186戸のマンションです。 129台分のハイルーフ車・SUVも駐車可能な「自走式平面駐車場」、20台分の「平面駐車場」を備え、キッズルームやスタディルームも完備です。 膳所エリアはびわ湖が近く、いい学校も多い文教エリアなのでファミリー層に特に人気が高く、滋賀らしい利便性と解放感があり、マンションの供給が増えています。



シエリアシティ大津におの浜

シエリアシティ大津におの浜は琵琶湖からさらに近い、におの浜の中心に位置するマンションです。 708戸の超大規模マンションであり、自走式駐車場、キッズルーム、学童、スタディルーム、コワーキングスペース、シアタールームなど、これでもかと共用施設が充実しています。 道路を挟んで24時間営業スーパーのマックスバリューやOh!me大津といった商業施設も充実し、車か自転車ですぐにイオンモール草津にも行ける便利な立地です。 におの浜で検討するならまずチェックしてほしい物件です。

シエリアシティ大津におの浜 レビュー①  〜立地 ブランド 資産価値 事前説明会編〜 【モルモット】



膳所エリアの記事も書きましたので一緒にどうぞ!

前編★シエリアシティ大津におの浜が建設予定  大津市におの浜エリアを散策 滋賀らしい開放感と利便性が同居する街【モルモット】



 

プラウドシティ大津京

プラウドシティ大津京琵琶湖ビュー×353戸の大規模マンション。自走式駐車場も100%完備!

琵琶湖ビューは滋賀でも珍しい価値であり、資産価値にも期待できます。(もうキャンセル待ち程度しか残っていませんが・・・)

琵琶湖ビューでない道路側はクオリティの割にとても安く、「滋賀ベッドタウンとして見ていて、基本は京都大阪で生活します」という方にもピッタリ。マンションの向かいがきれいな商業施設ブランチ大津京なのもポイント高いです。メジャー7の供給が少ない滋賀でプラウドブランドはやっぱり強いです。

プラウドシティ大津京をご紹介 最後の新築大規模琵琶湖ビュー!?【モルモット】



 

マンションは大きな買い物。人によっては一生に一度の買い物です。

今すぐ買うとは限らなくても、数年かけてエリアの特性や価格推移などを把握しておき、いざというときにはすぐに判断を下せるようにしておくことはとても大切だと思います。不動産は2つとして同じものがない一点もの。特に中古物件は「良さそうですが他も見てから・・・」と言っているとすぐに売れてしまい、もう出会えなくなります。

「今はまだ住宅支援が会社からあるから・・・」という方も、情報だけでも先に集めておき、将来購入をするときに悔いのない決断をしていただけましたら幸いです。もちろん収集段階で「支援が残っているがこの物件に今すぐ住むことに価値がある!」と思えば決断すればいいと思います!

 

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