今回は、福岡市西部の新築マンションを室見・姪浜・今宿・九大学研都市・周船寺と駅別に比較。70㎡6000万円以下がどこまで買えるか、価格差の理由と街の変化まで解説します。
福岡市の新築マンションが高くなった。これはマンションを探している人なら、もう説明するまでもないでしょう。では、ファミリー層の一つの目安となる、「70㎡前後・6000万円以下」という条件なら、今の福岡市でどこまで買えるのでしょうか。
今回は地下鉄空港線の室見から西へ向かって、
室見→姪浜→下山門→今宿→九大学研都市→周船寺
と、新築マンションの価格を追ってみました。
実際に並べてみると、「都心から離れれば、少しずつ安くなる」という単純な結果にはなりません。
姪浜から今宿へ進むと、価格は大きく下がる。ところが九大学研都市では、今宿より西にあるにもかかわらず、駅前なら再び6000万円を超える。そして一駅西の周船寺では再び5000万円台。
なぜこんな価格差が生まれるのでしょうか。
調べていくと、マンション価格だけでなく、福岡市がこの20年以上、西部地域をどう作ってきたのかも関係していることが見えてきました。
まず、現在の価格を並べてみる
2026年8月時点で価格を確認できる販売住戸を中心に比べます。
姪浜・今宿・九大学研都市・周船寺の新築マンション価格比較表(2026年8月)
| 駅 | 面積 | 価格 |
|---|---|---|
| 室見 | 76.84㎡ | 8280万円~ |
| 姪浜 | 71㎡台 | 6990万円~ |
| 今宿 | 82.92㎡ | 4970万円~ |
| 九大学研都市 | 72.42㎡ | 6520万円 |
| 周船寺 | 71.81㎡ | 5590万円 |
新築・70㎡前後・6000万円以下。価格公表済みの住戸を見る限り、室見・姪浜ではかなり難しく、選択肢の中心は姪浜より西へ移っています。
室見・姪浜では「70㎡・6000万円」が難しくなった
室見駅徒歩4分のオーヴィジョン室見一丁目は、76.84㎡が8280万円から 「オーヴィジョン室見一丁目を実際に見た記事はこちら」。姪浜駅徒歩8分のサンメゾン姪浜も、71㎡台が6990万円からです。数年前、私が室見周辺の新築マンションを見ていたころには、80㎡前後が6000万円台前半という住戸もありました。もちろん別のマンションなので単純比較はできません。
それでも、
「6000万円台でどれくらいの広さが買えるか」
という購入者側の感覚は、この数年でかなり変わりました。
姪浜から今宿へ行くと、約2000万円変わる
姪浜の次は下山門ですが、現在価格比較できる新築が見当たらないため、今宿へ進みます。サングレート今宿駅南では、
82.92㎡・4LDKが4970万円~5320万円。
姪浜では71㎡が6990万円から。
今宿では82㎡が4970万円から。
違うマンションなので約2000万円の差をすべて駅力の差とは言えません。
それでも購入者側から見れば、「同じ予算で何㎡買えるか」という比較になります。
11㎡違えば、畳にして6畳を超える広さです。子どもがいる家庭なら決して小さな差ではありません。
西へ行くと「車」というもう一つの軸が出てくる

202号線バイパスと西九州道。ロードサイドの大型店が並ぶ
ただし、ここで忘れてはいけないものがあります。車です。
室見や姪浜なら、駅近に住めば鉄道と徒歩、自転車だけでもかなり生活できます。一方、今宿、九大学研都市、周船寺と西へ進むほど、生活圏は横に広がります。
大型商業施設。ロードサイド店舗。学校。病院。糸島方面へのレジャー。
家族で暮らすなら、車を持つメリットは明らかに大きくなります。つまり住宅価格だけを見ると、「西へ行けば1000万円、2000万円安い」となりますが、駐車場代、車両代、保険、ガソリン、車検などのコストも家計に入れて考える必要があります。ここは都心寄りと西部を比べるときの重要なポイントです。
一方、西部は車で暮らしやすいよう、道路網もかなり整備されています。
西九州自動車道が西部の暮らしを支える
福岡市西部を東西に走るのが、西九州自動車道です。その一部を構成する今宿道路は、福岡市西区から糸島市二丈福井まで約23.3km。福岡前原道路を通じ、福重JCTで福岡都市高速にも接続しています。周船寺校区の中央部には、
JR筑肥線。国道202号。国道202号バイパス。西九州自動車道が東西に走っています。
電車では天神・博多へ。車なら都市高速を使って福岡市内へ。逆方向なら糸島、唐津方面へ。これは室見や姪浜とは違う西部の魅力でしょう。マンションを買う場所を西へ移すことは、単に「通勤時間が増える」という話ではなく、鉄道中心の生活から、鉄道と車を組み合わせる生活へ変わると考えた方が実態に近いと思います。
整備が追い付いていない一面も
ただ、人口増加に道路整備が追いついていない部分もあります。今宿大塚交差点周辺などでは渋滞が課題になっており、福岡市も右折レーン延伸や車線増設などを進めています。周船寺インターのフルインター化についても地域から要望が出ています。便利になっている一方で、車が増えれば渋滞も増える。
西部の成長を見るうえでは、この点も無視できません。
そして九大学研都市で価格が再び上がる

九州大学へ続く道路沿いには、駐車場を完備した大型店が連なる
今宿の次が九大学研都市です。
ここでは以前、クレアネクスト九大学研都市 ザ・レジデンス/クレアネクスト九大学研都市駅前を紹介しました。「クレアネクスト九大学研都市駅前を実際に見学した記事」現在、ザ・レジデンスでは72㎡台を含む住戸が5000万円台。一方、駅徒歩4分の駅前棟は72.42㎡は6520万円です。「駅徒歩4分と8分、同じ72㎡台を比較した記事はこちら」
つまり九大学研都市は、「姪浜より西だから安い駅」とは言えなくなってきました。
背景にあるのが街そのものの成長です。
九大学研都市は20年以上かけて作られた街
九大学研都市は自然に大きくなった街ではありません。福岡市は九州大学伊都キャンパス移転に合わせ、約130haの伊都土地区画整理事業を行い、道路、新駅、駅前広場、公園、住宅地などを整備してきました。その結果、事業着手時には約920人だった地区内人口は、2019年には1万3000人を超えました。現在では駅前にイオンモール福岡伊都があり、マンションや戸建てが並ぶ一つの街が出来上がっています。
つまり九大学研都市の価格には、20年以上かけて作られた街の完成度もある程度反映されているのでしょう。
人口増を象徴する「18年ぶりの中学校新設」

新設された周船寺中学校

中学校の隣は半分になった湯溜池
西部地域の人口増を象徴する出来事が、2026年4月にありました。福岡市立周船寺中学校の開校です。福岡市内で中学校が新設されるのは、2008年の照葉中学校以来、実に18年ぶりでした。
なぜ新しい中学校が必要になったのか。九大学研都市周辺などの人口増加によって、元岡中学校の生徒数が急増したからです。元岡中学校は2020年度には953人・29学級でしたが、2021年度には1000人・33学級となり、福岡市が「過大規模」とする31学級以上を超えました。その後も1000人を超える状態が続き、新設校が必要になりました。
そして、この中学校にはもう一つ象徴的な点があります。学校を造った場所は、もともと「湯溜池」という農業用ため池でした。福岡市の基本計画にも、学校敷地について、「湯溜池の一部を埋立てた土地」と明記されています。
人口が減って学校が統廃合される地域が全国に多い中、福岡市西部では、ため池の一部を埋め立てて用地を確保し、新しい中学校を造るほど子どもが増えた。これは、この地域がこの20年間でどう変わったのかを非常に分かりやすく表していると思います。
その一駅西、周船寺では次の街づくりが始まる
九大学研都市から一駅西が周船寺です。クレアネクスト周船寺では、71.81㎡が5590万円。
九大学研都市駅前の72.42㎡・6520万円と比べると、ほぼ同じ広さで約930万円安い。
ただし、周船寺は何も変化のない郊外駅ではありません。「九大学研都市と周船寺で約600万円差が出る理由を考えた記事」
駅南側では現在、周船寺駅南土地区画整理事業が進められています。施行面積は13.8ha。事業期間は2023年度から2032年度の予定です。
計画には、
- 周船寺駅南口
- 駅アクセス道路
- 交通広場
- 商業・サービス機能
- 住宅地
福岡市の最新の都市計画マスタープランでも、今宿・周船寺は「地域拠点」と位置づけられています。九大学研都市が、「すでに街づくりの成果が表れている場所」だとすれば、周船寺は、「これから街の形が変わる場所」と言えるかもしれません。もちろん、「区画整理があるからマンション価格が上がる」と単純に考えるのは危険です。
九大学研都市には九州大学、イオンモール、すでに形成された住宅地があります。周船寺が同じ街になるとは限りません。ただ、今の約900万円という価格差を見るとき、完成した街と、これから整備される街の時間差という視点は持っておいてよさそうです。
西部8校区の人口は20年で約1万9000人増
福岡市議会で市が示した数字によると、西区西部8校区の人口は、2005年:約4万8000人
から、
2025年:約6万7000人
へ増加しました。
20年間で約1万9000人増。
全国で人口減少が問題になる中、かなり大きな増加です。
九州大学移転。鉄道。道路。土地区画整理。マンションや戸建ての供給。大型商業施設。そして学校の新設。こうして見ていくと、西部のマンション価格だけを切り取って、「郊外だから安い」と考えるのは少し違うように思えてきます。
6000万円を何に使うか
結局、6000万円という予算を何に使うかです。室見や姪浜という立地に使う。今宿まで行って80㎡台という広さに使う。九大学研都市という完成してきた街に使う。周船寺でこれからの街の変化も見ながら70㎡台を選ぶ。ただし、西へ行けば車を持つ可能性も高くなる。マンション価格が1000万円安くなっても、車2台を20年間保有すれば、それなりの金額になります。マンション価格だけでなく、暮らし全体のコストで考える必要があります。
一方で車があれば、糸島の海や山、唐津方面にも行きやすい。西九州自動車道や国道202号を使えることも、西部に暮らす価値の一つです。このあたりは単純な坪単価では測れません。「福岡市で届かないなら『糸島』という選択肢も考えてみた」
「70㎡・6000万円以下」は西へ
ただし、街そのものも変わっている2026年8月時点で価格が確認できる住戸を見る限り、
「新築・70㎡前後・6000万円以下」
という条件の中心は、すでに姪浜より西へ移っています。ただ、今回調べてみて感じたのは、「安いから西へ行く」だけではないということです。
九大学研都市では20年以上にわたる街づくりが価格にも表れ始めています。その周辺では人口が増え、ため池の一部を埋め立てて新しい中学校を造るほど子どもも増えました。さらに西の周船寺では、駅南側の新しい街づくりがこれから進みます。そして西九州自動車道をはじめとする道路網によって、車を使った生活圏も広がっています。
マンションが高くなった今だからこそ、「今いくらで買えるか」だけでなく、「その価格でどんな暮らしができるのか」まで比べる。
福岡市西部でマンションを探すなら、そんな見方が以前より重要になっていると思います。
[スムラボ編集部より] 本ブログ記事の情報は投稿日時点のものです。現在の販売情報は物件公式サイトをご参照下さい。























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