阪急編|長岡京市の重心はどこにあるのか
長岡京市といえば、JR長岡京駅と阪急長岡天神駅のどちらを思い浮かべるだろうか。
正直なところ、京都市内に住む私には、以前はその違いを意識したことがなかった。
ただ仕事で車で長岡京市に来る機会が増える中で、この街の“見え方”が少しずつ変わっていった。
阪急長岡天神駅前は、いつもどこか混雑している。
ロータリーがないため車が近づきづらく、歩行者と自転車が絶えず行き交う。
商店街には人の気配が濃く、整いすぎていない分だけ生活の匂いが残っている。

阪急長岡天神駅前に新しくこの6月にオープンしたたこ焼き屋
一方でJR長岡京駅前は、対照的だ。
整然としていて、開けていて、静かでもある。
ただその静けさは心地よさでもあるが、同時にどこか距離感もある。
駅の東側に至っては、ほとんど意識して訪れたことすらなかった。

整然としたJR長岡京駅東側
現在、阪急長岡天神駅前では再整備が始まっている。
この変化が進めば、人の流れはさらに阪急側へと厚みを増していくだろう。

結論から言えば、単純な二択では語れない。
JRと阪急、それぞれが異なる役割で都市を支えている。
JR長岡京駅(JR長岡京駅)は、
広域アクセスと業務機能の中心だ。
駅前にはバンビオが整備され、

村田製作所をはじめとする企業集積もあり、
「働く街」としての性格が強い。

明らかに「暮らしの中心」だ。

長岡天満宮へと続く人の流れ、

日常がそのまま積み重なったような街並み。
都市の鼓動はこちらの方がはっきりと感じられる。

「長岡は売れる」と聞いていた
広告代理店時代、マンションに詳しい人たちからよく聞いた言葉がある。
「長岡は強いですよ」
「駅前のマンションがすぐ売れた」
当時の私には、その理由がよく分からなかった。
長岡京市に住んだこともなければ、特別な縁もない。
ただ、その言葉だけが妙に記憶に残っていた。
確か「エスリード」という名前を聞いたような気がする。
後から調べると、2005年に分譲されたエスリードによる長岡天神エリアの物件がある。
当時話題になっていたのは、あの頃の“長岡の評価”を象徴する存在だったのかもしれない。

阪急長岡天神駅前には「エスリード長岡天神」・2005年7月建築・11階建・175戸、バカ売れだったのでしょうか?
ただ面白いのは、当時の私はその「長岡」をJR長岡京駅の風景だと思い込んでいたことだ。

再開発された駅前。
整ったロータリー。
そこに企業が立地する姿。
「売れる駅前」と聞けば、無意識にそちらを想像していた。

JR長岡駅前には「ローレルスクエア長岡京」2005年2月建築・20階建・174戸、このマンションもバカ売れだったのでしょうか?
しかし今回、改めて阪急長岡天神駅前を歩いてみると、少し腑に落ちたことがあった。
賑わいがあること自体は昔から知っていた。
ただ、私の中では長岡天神駅前は「昔からの街」、JR長岡京駅前は「新しい街」という認識だった。
だから当時、「長岡は強い」「長岡のマンションは売れる」と聞くたびに、無意識にJR長岡京駅前の風景を思い浮かべていた。
だが実際には違ったのかもしれない。
商店街があり、人が行き交い、生活の風景が積み重なる阪急長岡天神駅周辺。
長岡京市の住宅地としての評価を支えてきたのは、こうした日常の厚みだったのではないか。
街を歩きながら、そんなことを考えていた。

マンションが教えてくれた街の評価
阪急長岡天神駅周辺には、近年分譲されたマンションが点在している。
クレヴィア長岡天神
レーベン長岡天神 CRESIST
ジオ長岡天神レジデンス
いずれも阪急長岡天神駅を生活圏とする立地だ。
「クレヴィア長岡天神」は、全邸南向きと駅前再整備への期待感もあり、当時から評価は高かった。
実際、販売も順調に進んだ。
その後の「レーベン長岡天神 CRESIST」は、後発として厳しいかと思っていたが、それも早期に完売している。

(左)「クレヴィア長岡天神」築2023年12月・44戸・15階建。(右)「レーベン長岡天神 CRESIST」築2023年12月・38戸・15階建
さらに印象的だったのが「ジオ長岡天神レジデンス」だった。
阪急長岡天神駅に加え、JR長岡京駅も使える立地。
二つの駅を使い分けられる長岡京市らしいポジションだ。
それでも販売時の価格帯を見たとき、率直に「強気だ」と感じた。
6000万円台〜8000万円台の住戸が中心で、長岡京市としては一つの到達点のようにも見えた。
しかし結果として、この物件も市場に受け入れられている。
振り返れば、街の評価の方が先に進んでいたのかもしれない。

阪急長岡天神駅 徒歩3分・JR長岡京駅 徒歩9分の「ジオ長岡天神レジデンス」築2024年3月・62戸・13階建
街はまだ変わろうとしている
もっとも、長岡京市の評価は過去の実績だけでは語れない。
街はいまも変わり続けている。
阪急長岡天神駅前では再整備に向けた動きが進み、交通動線や歩行空間の再設計が検討されている。

阪急長岡天神駅東口には芝生の緑の広場が生まれました。
現在の駅前は、人や自転車が絶えず行き交う一方で、車でのアクセスには課題も残る。再整備が実現すれば、駅前の風景は大きく変わることになるだろう。

阪急長岡天神駅東側ではロータリーと道路の拡幅工事が行われています。
そして駅周辺では、新たなマンション供給も続いている。
現在分譲中のディモア長岡天神ザ・レジデンスに加え、

阪急長岡天神駅徒歩6分「ディモア長岡天神ザ・レジデンス」5階建・24戸・完成予定2026年11月
駅徒歩2分圏では「阪急阪神不動産」による新たなマンション計画も動き始めていた。
現地に掲げられた計画看板を見ると、地上13階建ての規模となる予定だ。

(仮称)長岡京市長岡2丁目計画/阪急阪神不動産
近年もクレヴィア長岡天神、レーベン長岡天神 CRESIST、ジオ長岡天神レジデンスといったマンションが市場に受け入れられてきたが、それでもなお新たな供給が続いている。
長岡京市、とりわけ阪急長岡天神駅周辺への評価が今も高いことを示しているように感じる。

セブン通沿いの阪急阪神不動産マンション計画地
また、駅前を歩いていて目を引いたのが長岡京トーセビルのバリケードだった。

長岡天神駅を利用する人なら気になっている方も多いのではないだろうか。
私も当初は土地利用の変化を想像したが、現地の計画によるとトーセは引き続きこの場所で建替えを進める予定だ。
マンション計画や再開発だけが街の変化ではない。
企業が街に残りながら設備を更新していくこともまた、街の時間が進んでいる証なのだろう。

一方で、街を歩いていて少し驚いた風景もあった。
かつて地域住民に親しまれていたスーパー・リバティが閉店していたのである。
かつて地域住民に親しまれていたスーパー・リバティが閉店していたのである。
建物の老朽化と大規模な再開発(跡地のマンション建設など)に伴い閉店。跡地にマンション計画があるのか!

建物の老朽化と大規模な再開発(跡地のマンション建設など)に伴い2026年3月末をもって閉店。
新しいマンションが建設される街。
再整備が進む駅前。
その一方で、昔からの風景が静かに姿を消していく。
街は発展する。
だが発展とは、新しいものが増えることだけではない。
長く街を支えてきた風景が役目を終え、その跡に新しい風景が生まれていく。
そんな時間の流れもまた、街の変化なのだろう。

1969年に「長岡ショッピングセンター」として開業し、57年間にわたり営業を続けた。
阪急かJRか。
今回歩いてみて感じたのは、長岡京市の暮らしの重心はやはり阪急長岡天神駅周辺にあるということだった。
ただ、それだけでこの街を語ることもできない。
なぜなら長岡京市には、もう一つの顔があるからだ。
次回はJR長岡京駅周辺を歩きながら、その街の役割について考えてみたい。
おわり
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