マンションは今買うべき?それとも待つべき?【2LDK】

今後のマンション価格、上がるの?下がるの?今買えばいいの?待てばいいの?

結論としては「価格は数年下がらない可能性が高いので今家が必要なら買うべき」なのですが、なぜそう考えたかを整理してみたいと思います。

新築マンションの供給は少なくなる傾向にあります。そして大手デベロッパーのランドバンクを見る限り、今後も供給が大きく増える見込みもありません。

三井不動産決算資料より画像引用



土地の取得コストも増加しています。インバウンドも復活してきましたし、コロナが5類になってリモートワークからオフィス回帰する企業も増えてきておりホテルやオフィスとの用地取得合戦も激化しそうで、用地取得コストも下がる兆しはありません。


資材や人件費も高騰しています。大手ゼネコンもコロナ前に受注した案件がコロナやウクライナショックで資材高騰したことで、2021年度はかなり厳しい決算でしたが、2022年度は回復してきています。私は業界素人なので中の詳しいことはわからないですが、ゼネコンの利益が改善しているということはデベロッパー目線では原価増になっていると考えられます。

ここ最近販売が開始された小〜中規模マンションはえっ!というような価格が増えてきている印象があります。これが資材・人件費増が正しく価格に反映された結果なのだとすると、こちらも下がる兆しはありません。

ではこんな高値になったマンション、誰が買っているかというと、「共働きパワーカップルとお金持ち」だと考えます。

日本全体で見ると所得は横ばいなのですが、正社員同士の共働きは増えており、子どものいる世帯の所得は増えています。


この流れは今後加速すると考えています。リモートワークが普及したことで子育てしながら仕事を続けやすくなっていますので、正社員同士の共働き率は今後も増えそうです。さらにアプリ婚が普及すると高収入×高収入のカップルが増えると予想していますので、世帯年収が2,000万円級のパワーカップルも増えてきそうです。


原価が上がった分販売価格を上げて多くの検討者がついて来れなくなっても、供給も少なくなっていますので、販売戸数分の需要を見つければ事業としては成立します。

…と価格が上がりそうな要素を並べてみたのですが、価格が絶対下がらないか?と言われればそうでもありません。

次の4つが来ればマンションの価格は下がる可能性があります。①未曾有の金融ショック②大地震③戦争④金利上昇です。

①はバブル崩壊・リーマンショック、②は東日本大震災で実際に価格が下がりました。

ただし、新築マンション価格に与えたインパクトはリーマンショックで▲5.0%、東日本大震災は▲2.9%です(いずれも当該事象発生年の平均価格と前年平均価格との比較)。価格が下がったのは事実ですが、▲2.9%であれば今の相場で平均より2.9%オトクな住戸を探す方が現実的だとも思えます。もちろん過去がそうだったからと言って未来も同じような値動きになる保証はありません。


④の金利上昇。これは上に挙げた4つの中で最も可能性が高いと考えていますが、こちらも注意が必要です。

金利が1%→2%に上がると金利分含めた総負担額は約15%増えます。なので、マンションの価格を15%下げないと今まで買えていた人が買えなくなってしまうのですが、金利上昇による負担増分がリニアにマンション価格に反映されるとは思えません。


デベロッパーにとっても金利増はコスト増加要因なわけで、コスト増で利益が下がる局面で売上(=販売価格)まで安易に落とさないだろうと考えるためです。資金繰りの兼ね合いで早期完売が求められる中小のデベロッパーはさておき、現在新築マンション供給の大多数を占める大手のデベロッパーは体力もありますので、仕様を落としたり・面積を削ったりなど営業利益率を下げない手法をあの手この手で考えると思います。

金利上昇で住宅購入者の総コストは増えるのに販売価格はさほど変わらないとなると予算を上げるか・エリアを変えるか・面積を妥協するかとなってしまいます。金利上昇にベットするのであれば購入を先送りにするのではなく、今の相場で固定金利を選ぶという選択肢も検討すべきだと思います。

ここまでは主に新築メインの話でしたが、中古はどうなるか。マクロでは中古の価格は新築の価格にリンクしているので下がる可能性は低いと考えます。


一方でミクロで見ると2024年夏頃の湾岸エリアなど一時的に需給バランスが崩れて下がる可能性はありますし、港区港南のように新築供給がしばらくないエリアは価格の上昇スピードが周りと比べて若干遅いので相対的に買いやすいなど、エリア毎のグラデーションはあります。私が以前から推している中野・大井町・清澄白河あたりは全体的なバランスが良く買いやすいエリアだと思います。

5,500万あたりで価格上昇が止まるエリアと引き続き価格上昇が続くエリアの二極化は進みそうだと思っていますので、検討しているエリアのグロスの壁は意識する必要があります。


コロナが5類になったことも二極化を加速させる要因となりそうです。


ということで戦略的に買い控えることの期待値は高くないので、今必要なら購入を前向きに検討することをおすすめしたいですが、マンション価格が上がっているということはダウンサイド時のリスクも大きくなっていることを意味します。

戸建てに比べたマンションの良さって主に立地の良さと流動性の高さだと思っていますので、「永住」の十字架を背負って住宅購入のハードルを上げすぎる必要もないですが、2〜3年住んで売却想定です!と考えている方は過去に比べてリスクが高まっていることを自覚する必要があります。

ネットに転がっている「数年おきにマンションを買い替えて売却益Get!コンクリ貯金です!」という話は高度なマンション目利きと上昇相場に乗れたという2つの要素がなせる技ですので、「新築マンションを買ったら儲かる」という簡単な話ではありません。

ちょうどあかいさんがスムログでこんなことを書かれてました。

資産価値期待やコンクリ貯金といった夢が全部はがれてもこの物件気に入ったからええんやと言えるといいですね。

含み益や資産性という言葉に囚われすぎて住みたくもないエリアやマンションに住むのは本末転倒ですし、「長く住む」ことは残債割れリスクを低下させますので、その点でも早く住み替えたいと思うようなマンションを購入するのはリスクがあります。

一方で将来的な売却可能性やリセールバリューを一切無視していいかと言うとそうでもないと思っていまして、だったら戸建てでええやん!って感じもします。

人々の生活は以前と比べて多様化していて今後さらに加速していく可能性が高いです。変化の多い時代において住む場所を固定することはリスクでもあります。流動性の高いマンションの良さは中期的な住替えが現実的な点です。

その点を踏まえると「10年〜20年住んで売却に困らない最低限のリセールバリューを確保しつつ、自分と家族の幸福度が最も最大化するマンション」というのがバランスの良い選択肢なんだと思います。もちろん個人差はありますので個々人の事情に合わせてチューニングは必要です。

私がブログで取り上げたり、Twitterでツイートする際は「価格の妥当性」を大切にしています。なので基本的に「10年〜20年住んで売却に困らない」マンションを中心に記事化していますので、是非記事も参考にしていただけると嬉しいです。[PR]


マンション価格が上がって購入の難易度が上がってきていますが、一方でマンションに関する情報発信をする人も増えてきています。そういった情報発信を上手く活用することが、令和のマンション購入テクなんだと思います。

昨日の日経にのらえもんさんのインタビュー記事が掲載されていました。とても学びある内容でしたのでご紹介させていただきこの記事の〆とさせていただきます。→こちら

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首都圏エリア担当。記事を見てマンション買いました!と言っていただくことが最近の生きがいです。読者の方のマンション探しのお役に立てるよう日々発信しています。

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