34年前と変わらない街。円町交差点・吉野家
「円町」交差点。この街に、30年以上変わらない風景がある。
私の田舎には、吉野家が無かった。
そんな私の“吉野家デビュー”の地が、ここ円町だ。
立命館大学に入学して間もない頃、まだ距離のあったクラスメイトたちとオールした明け方。眠気と空腹の中でかき込んだ牛丼は、きっと美味かったはずだが、味の記憶はない。

あれから34年。
JR円町駅が開業し、新しい店も増えた。
それでも円町は、大きくは変わっていない。
この感覚はなんなんだろうか。
ただ、あの明け方前の円町交差点の空気だけは、今でも強烈に残っている。
特別な何かがあるわけでもない。
それでも、「ここにいれば何とかなる」と思えた。
円町は、そういう街だ。
何かが劇的に良いわけではない。
けれど、生活が途切れない。
変わらないのではなく、
変わらなくても成立し続けている。

カレーの街にラーメン店が増え、銀行は去る──円町で起きている“静かな変化”
ノスタルジックな源湯でひとっ風呂浴びた後、
「謹製咖喱酒舗 アムリタ」でビール、そしてカレー。
とにかく最高だった、あの日の午後。
そんなカレーの街「円町」で増えているのがラーメン店だという・・・。
少し不思議な気もするが、理由は単純だ。ラーメンは回転が速く、日常的に使われる。つまりそれだけ、この街に「普段使いの需要」が積み上がっているということだ。

ラーメンムギュ Vol. 1 本店が生まれたのが2017年。ここ円町で瞬く間に人気店となりました。今だに行列を見かけます。

その北側に2024年生まれたのが麺屋 極鶏 円町店。天一のコッテリの果ての向こう側の景色を見させてもらった。

そして、ムギュの南。一乗寺で超人気の二郎系(インスパイア)池田屋の京都2号店が開業したのが2025年
円町は、特別な一日を過ごす街ではない。
何気ない日常を繰り返すための街だ。
だからこそ、カレーの余韻の中に、ラーメンが入り込んでくる。
しかし、日常の街と言いながら、この街は“通過点”としての顔も持っている。
駅からバスへ乗り換え、金閣寺へ向かう訪日旅行者。
立命館大学へ急ぐ学生たち。
異なる目的を持った人の流れが、この交差点で交わる。
円町は、暮らすための街でありながら、
同時に「通り過ぎられる街」でもある。

だが、この“通過”は無意味ではない。
人が流れ続けることで、店は成り立ち、街の温度は保たれる。
ラーメン店が増えるのも、その延長線上にある。
短い滞在でも成立する業態が、この街には合っている。
つまり円町は、
「定着」と「通過」が同時に成立している街だ。
そんな円町交差点に、変化が現れ始めている。
北西角にある三井住友銀行 円町支店には、「店舗移転のご案内(2026年7月13日)」の掲示。
さらに交差点の東にある京都銀行円町支店も、2026年8月3日に西陣支店内へ移転する予定だ。
これまで街の“拠点”として機能してきた銀行が、相次いでこの場所を離れる。
周囲ではラーメン店をはじめとした飲食が増えている。
この対照的な動きは偶然ではない。
円町交差点の役割が、静かに変わり始めていることを示している。
南東角の京都中央信用金庫は、この場所に拠点を残している。
将来的に建て替えや、住居を含む複合施設へと転換される余地もある。
そうなれば、この交差点に“住む”という選択肢が現実味を帯びてくる。
銀行が去り、飲食が増え、
そして拠点が複合化していく。
円町は、
「用事のために来る場所」から
「暮らしが重なる場所」へとシフトしている。
JR円町駅前の新マンション計画地
JR円町駅南口を出ると駅の西側、佐井通沿いにバリケードが見えた
この敷地は、かつて「蕎麦ぼうろ」で知られる老舗和菓子店、
丸太町かわみち屋があった場所だ。
長く地域に根ざした商いの場が、その役割を終え、
いま新たな用途へと変わろうとしている。
現在、現地にはバリケードが設置されている。
四方を道路に囲まれた、いわゆる“ほぼ角地”のような敷地で視認性は高い。
すでにこのエリアでは、
京都円町GRAND PLACEのような分譲マンションも供給されている。
駅徒歩6分という立地。
価格帯は5,000万円台後半から7,000万円台にかかる水準で、
円町エリアとしてはやや高めの設定となっている。
そのためか、販売は比較的ゆっくりと進んでいる。
裏を返せば、それでも一定の需要が存在しているということでもある。

しかし、今回訪れた時にはその看板は姿を消していた。
計画が一時的に止まっているのか、あるいは内容が見直されているのか。
詳細はまだ見えない。
Googleマップ上では、JR円町駅まで徒歩約3分と表示される距離。
実際、横断歩道の位置を踏まえると、動線はやや回り込む形になる。
ただ、現地に立つと駅は目の前に見える距離にある。
直線的な近さと、実際の導線との間に、わずかなギャップがある立地だ。

現地前には横断歩道がなく、丸太町通まで出る必要がある
周辺の分譲事例と比較すると、
駅前かつ四方接道という条件を踏まえれば、坪単価はやや上振れする可能性がある。
円町は、例えば御所西や御所東のような“特別な場所”ではない。
その代わり、特別でない日常を無理なく回せる。
歴史やブランド性ではあちらに分がある。
一方で円町は、生活の動線がコンパクトにまとまっている。
どちらが優れているかではなく、
何を重視するかで選ばれる街が変わる。
円町は、派手に選ばれる街ではない。
それでも、日常を崩さずに暮らせる強さがある。
大きく変わらないからこそ、気づかないうちに“外されにくい街”になっている。
この街の価値は、上がるかどうかではなく、
続いていくことそのものにある。
おわり




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