こんにちは、モルモット滋賀です。
今日はですね、滋賀県民が一度は考えるテーマ、「琵琶湖が見える部屋って、結局いくら得なの?」 を、調べたので記事にします。

先に断っておくと、この記事は滋賀県民のためだけの記事ではありません。むしろ東京・大阪・名古屋で「南向きより北向きのほうが高いってどういうこと?」と思ったことがある全国のマンション購入検討者に読んでほしい。琵琶湖はあくまで例の教材です。眺望というやつの資産価値の作られ方、崩れ方、そして守られ方。それが全部この湖のほとりに詰まっています。
「湖が見えて嬉しい、以上」で終わらせませんよ!
まず、琵琶湖のスケール感を1分で(滋賀県民は飛ばしてOK)
県外の方のために、教材のスペックだけ共有しておきます。県内の方は琵琶湖博物館で履修済みですよね!!!!
- 面積 669.26km²。滋賀県の面積の約6分の1。日本最大。
- 周囲長 235.20km。最大水深 103.58m、平均水深 41.2m。
- 貯水量 275億㎥、これも日本一。
- 成立はおよそ 440万年前。世界に20ほどしかないとされる「古代湖」の一つ。
対岸まで最大で20km近くあるので、湖岸のマンションから見える景色は、正直「海」と区別がつきません。しかも海と違って塩害がない。窓ガラスもサッシもエアコン室外機も、潮風で死にません。オーシャンビュー物件のオーナーに言うと羨ましがられるやつです。
そして大津市から北を向けば比良山系、西には比叡山。「水平線+山並み+朝日と夕景」が同じ窓に収まるという、日本の分譲マンション市場では相当レアな絵が成立します。
ここから金の話です。イェイ。
意外と小さい?琵琶湖 右下の方は山中心で便利とはいいがたいかも
結論:琵琶湖ビューは資産価値になる。ただし「見えるだけ」ではならない
琵琶湖ビューは、資産価値になります。これは断言します。ただし条件が付きます。
琵琶湖ビューが資産価値になるのは、「今見えている」ではなく「10年後も見えていて、かつ駅から歩ける」場合だけ。
「え、湖が見えるってだけで高く売れるんじゃないの?」
なりません。 湖が見えるだけの低層階・駅バス便・築古・管理ボロボロの部屋は、市場ではただの「築古マンション」です。眺望は単独では効かない。効くのは「駅近・築浅・上層階・管理良好」という土台の上に乗ったときだけ。眺望は主菜じゃなくてトリュフです。パスタが茹ですぎだったらトリュフ削っても終わりです。眺望がいい部屋は人気でも眺望だけの部屋は売れません。
データで見る① 同じ棟・同じマンションで、向きだけで㎡単価が「35%」違った
大津市中央4丁目、京阪島ノ関駅 徒歩2分、2015年2月築・15階建・総戸数81戸の 「パデシオン大津レイクビュー」。名前に堂々とレイクビューと入れてくる潔さがあります。
間取りもいいんですよこのマンション。滋賀でこれよりいい間取り思いつかないレベル。
このマンション、マンションマーケットに売買履歴91件が蓄積されていて、方角別の平均㎡単価がこうなっています。
| 方角グループ | 平均㎡単価 | 70㎡換算 |
| 南/南東/南西 | 40.3万円/㎡ | 約2,821万円 |
| 西 | 48.1万円/㎡ | 約3,367万円 |
| 北/北東/北西 | 54.6万円/㎡ | 約3,822万円 |
北系が南系より㎡あたり14.3万円高い。率にして+35.5%。70㎡に換算すると約1,001万円差。
同じマンション、同じ管理組合、同じエントランス、同じ修繕積立金。向きが違うだけで1,000万円。
日本の不動産の常識では「南向き最強」です。南向きプレミアムは全国どこでも存在する。それがここでは完全に逆転している。しかも僅差じゃなく、35%というダブルスコアに近いレベルで。
大津市中央から見て、琵琶湖はどっちにあるか。北〜北西です。これがまた絶妙で、南向きにびわ湖が見えることは基本ありません。
湖北の琵琶湖沿いのほうなら南向きに琵琶湖じゃん!って思うかもですが、そんなとこに人は住んでいません。滋賀県でマンションが建って、琵琶湖沿いなのは大津市がほとんどなので、大体北向きになります。あと大津京の東向き。ここが一番ビューとしては価値が高い。
もちろん、この差の全部が眺望代ではありません。方角データには面積・間取り・角部屋・売出時期・リフォーム有無が全部混ざっています。マンションレビューではそこまではわかりません。
でも、「南向きプレミアムを踏み潰して北向きが35%高い市場」は、そう簡単には作れません。 実際このマンションに何度か行きましたが、なぎさ公園かぶりつきのビューは最高です。あとロイホ行き放題。部屋から見れないのにこのマンションを選ぶ理由は少ないとすら感じます。
データで見る② 眺望プレミアムは「連続」ではなく「階段」で発生する
同じ物件の階数別データを見てください。| 階数帯 | 平均㎡単価 | 一つ下の帯との差 |
| 1〜3階 | 42.7万円/㎡ | — |
| 4〜6階 | 42.4万円/㎡ | ▲0.7% |
| 7〜9階 | 43.1万円/㎡ | +1.7% |
| 10〜12階 | 48.4万円/㎡ | +12.3% |
| 13〜15階 | 65.1万円/㎡ | +34.5% |
見えましたか。1階から9階まで、価格がほぼ動いていません。42.7 → 42.4 → 43.1。誤差です。9階建てのマンションだと思って眺めても違和感がないくらいフラット。
ところが10階を超えた瞬間に+12%、13階を超えるとさらに+34%。1〜3階と13〜15階の差は㎡単価で22.4万円、率にして+52.5%、70㎡換算で約1,568万円です。
何が起きているかとうと低層階からは、手前の建物で琵琶湖が見えていないんです。 見えないから眺望プレミアムが少ない。だから1階でも8階でも値段が変わらない。そして手前の建物の屋根を視線が越えた瞬間、湖が「出る」。出た瞬間に、価格が階段状にジャンプする。
ここが眺望という商品の本質です。プラウドシティ大津京の琵琶湖ビュー棟も3F以下は安かった。
眺望の価値は、高さに比例しない。ある高さを境に、突然発生することもある。
これは全国どこのマンションでも同じです。「上層階だから高い」のではなく、「上層階になって初めて何かが見えたから高い」。逆に言えば、前面がずっと開けている物件は、5階でも眺望プレミアムが乗る。タワマンの30階でも、100m先に同じ高さのタワマンが建っていれば、そこは「壁ビュー」です。値段は付きません。
内見に行くときは、階数を見るんじゃなくて窓から実際に何が見えるかを見てください。 当たり前のことを言っているようですが、この当たり前ができていない人が本当に多い。「15階なんで眺望いいですよ〜」と言う営業さんに対して、「で、何が見えるんですか」と聞き返しましょう。
実際現地みにいったら目の前に別のマンションがあってそりゃあ安いわなと思うこともたくさんあります。
データから記事かいたけどこのデータは読み方が注意です!!
このマンションは5階ぐらいからでも琵琶湖十分に見えます。
単に階の高さではなく方角も関係してます。
北向きの5階が東向きの7階より高いというようにです。
マンションレビューばかり見ているとこの部屋はなんでこんな高いんだ?安いんだ?と疑問に感じることがありますが、たいていの場合実際の部屋を見ると納得の理由があります。
脚を運んで相場観を養うのがほんと大事です!
データで見る③ 湖側・上層階の実勢は㎡単価111万円 ――近畿圏の新築平均を「中古」が抜く
次はタワー系。「デ・リード大津におの浜レイクサイドタワー」(大津市におの浜3丁目、JR膳所駅 徒歩10分、総戸数185戸、商業地域)。

仲介サイトより引用 琵琶湖のすべての眺望がここに 花火大会最前列かつ大津港からの花火も見れる
マンションナビの掲載データによると、
- 推定売買価格相場:5,130万〜5,530万円(61.10万〜65.80万円/㎡)
- 3年前の相場平均は4,280万円 → 3年前比 約+20〜29%
- 販売価格事例:2026年4〜6月/上層階/北向き/3LDK・105㎡/1億1,500万円(㎡単価111万円)
㎡単価111万円。北向き。上層階。
これがどれくらいの数字か、比較対象を並べます。
| 比較対象 | ㎡単価 | 111万円は何倍か |
| 大津市のマンション平均(2025年・実取引) | 約33.9万円/㎡(112.1万円/坪) | 約3.27倍 |
| 滋賀県の新築分譲マンション平均(2025年) | 67.5万円/㎡ | 約1.64倍 |
| 近畿圏全体の新築分譲マンション平均(2025年) | 95.3万円/㎡ | 約1.16倍 |
つまり、築20年超の大津の中古マンションの湖側上層階が、大阪市部を含む近畿圏の新築平均㎡単価を上回っている。
これはもう「眺望が好き」とかいう話じゃないです。市場が金額で答えを出している。
ちなみに滋賀県の新築マンション市場は、2025年に発売842戸(前年比+38.3%)と伸びた一方、初月契約率は48.3%(前年比▲16.9ポイント)。近畿圏平均73.5%に対してかなり厳しい数字です。供給過剰すぎなのと、価格が上がって安いから滋賀というのが通じなくなってきてるのが痛い。土地が安くても建築費はどこでも同じ。滋賀の新築は「売れば売れる」市場ではなくなっている。 その中で、湖ビューの中古タワー上層階だけが㎡単価111万円で取引されている。市場が全部を買っているのではなく、選別して買っている。 眺望はその選別を通過する数少ないカードの一枚だ、ということです。滋賀に新築琵琶湖ビュータワーマンションはありませんし、たぶん10年以上は供給されません。
まあこの部屋はpremium部屋みたいな要素も多分に含みますが、そのpremiumを出せるのは琵琶湖ビューしかないです。豪華な家なだけでよければ戸建てでいいし、戸建てで琵琶湖ビューはとても難しいので。
世界の研究が言っていること:水辺ビューは5〜25%、フルビューはその倍
「日本の1〜2物件の話でしょ」と言われると弱いので、学術のほうも見ておきます。眺望プレミアムの研究、実はけっこう蓄積があります。① Benson et al.(1998)/米国ワシントン州ベリンガム 海・湖・山と、フルビュー/部分ビューを分けて分析した古典。結果は、**最高品質のオーシャンビューで約60%、最低品質の部分オーシャンビューで約8%**の価格上昇。**レイクビューは約18%、レイクフロント(湖に接する)は約127%**という推定も出ています。 (Benson, Hansen, Schwartz & Smersh, “Pricing Residential Amenities: The Value of a View,” Journal of Real Estate Finance and Economics, 16(1), 1998)
注目は「同じ水ビューでも8%〜60%の幅がある」という点。「見える/見えない」の二値ではなく、見え方の質で7倍以上ブレる。らしいです。
② Wong et al.(2026)/香港 より現代的で、日本のマンション事情に近いのがこれ。**香港の高級高層団地6つ・352件の中古取引(2015〜2024年)**を使い、階数・築年・市況指数・団地固定効果を制御した上で、眺望を「なし/部分/フル」の3段階で評価。結果は、
- 部分ビュー:約+11%
- フルビュー:約+22%
「階数の効果を除いてもなお、眺望だけで11〜22%乗る」というのがこの研究の肝です。前章の「10階の壁」で見た階段状のジャンプは、階数プレミアムと眺望プレミアムが同時に効いた結果だと考えると、数字の辻褄が合います。
③ 同論文が整理する先行研究のレンジ 海・湖・公園・スカイラインなどの眺望プレミアムは、測定方法と市場セグメントによって概ね5〜25%。さらに香港のJim & Chenの研究では、**広いハーバービュー+2.97%、限定的なハーバービュー+2.18%**である一方、**山ビューは▲6.7%、ストリートビューは▲3.7%**と、眺望の種類によってはマイナスに振れるという結果まで出ています。
眺望は「開放感」と「対象の魅力」の掛け算であって、何かが見えれば何でもいいわけじゃない。
まとめると、実務で使える相場観はこうです。
水辺のフルビューで+10〜25%、部分ビューで+5〜11%。 これを大きく超えるプレミアムは、「眺望代」ではなく「希少性代」か「売主の希望的観測」。
でもまぁ実際はその他の供給状況とか、ぱっと部屋を空けたときの雰囲気で全然かわりますよ。琵琶湖近くでなくてもリビングの椅子に座ったら、ちょうど目線が琵琶湖で埋まったりする部屋はお得です。まるで琵琶湖の目の前みたいに感じられますからね。におの浜の物件によくありがち。海外はよくわかんないですが、日本のレイクビューってホント少ないので!
なぜ琵琶湖ビューは希少なのか ――大津市が法律で「高さ」を止めた話
ここからが、この記事で私が一番書きたかったパートです。琵琶湖ビューの本当の価値は、「見える」ことではなく「これから増えない」ことにあります。
大津市は平成23年(2011年)1月28日施行で、高度地区(建築物の高さ規制)を商業系・工業系の用途地域にまで拡充しました。従来は住居系の10m・15m・20mの三段階だけだったものを、湖岸を中心に拡げたんです。
その理由が、市の資料に堂々と書いてあります。
「近年、JR駅の周辺や湖岸沿いに高層マンションの建設が増加してきたことを受け、琵琶湖や比叡、比良の山並みへの眺望や、古都としての街並みを守ることを狙いとしています」
つまり大津市は、「湖岸に高層マンションが増えすぎて景色が壊れる」と判断して、法的にブレーキを踏んだ。
大津京なんて琵琶湖沿いがマンションで埋まってて地域の人から琵琶湖が見えないですからね。
具体的な規制内容がこれです(「近江新八景ルール」に基づく設定)。
| 区分 | 用途地域・容積率 | 高さの上限 |
| 基本 | 商業地域 400%超 | 指定なし(=高度利用を推進) |
| 基本 | 商業地域 400%以下 | 45m |
| 基本 | 近隣商業地域 300% | 45m |
| 基本 | 近隣商業地域 200% | 31m |
| 基本 | 準工業地域 | 31m |
| 基本 | 工業地域 | 31m |
| 個別 | 堅田・浮御堂周辺の湖岸地域 | 15m |
| 個別 | 園城寺から琵琶湖を眺望できる地域 | 31m |
| 個別 | 瀬田の唐橋から南側の地域 | 31m |
45mは、マンションだとおおむね14〜15階建てが上限。31mなら9〜10階。15mなら4〜5階。
そして施行時点で、この高さ基準を超えている既存建物が19棟あったとされています。マンション、ホテル、滋賀県警本部(地上10階・59m)、大津市民病院(地上9階・48m)など。これらは既存不適格になりますが、景観計画を遵守し周囲との調和を図ることを前提に、現在の高さまでは建替えが可能という運用です。
さらに大津市は景観計画で、眺望景観保全地域(北部湖岸/堅田・雄琴/園城寺門前・西大津都心)を設定し、第2次計画では「対岸眺望景観保全地域」まで設けています。対岸から見られる側の景色まで守りにきている。
ここから導かれる結論が、これです。
大津市の湖岸に、これから新しく「琵琶湖ビュータワー」が林立することは、制度上ほぼありません。 つまり現存する湖ビュー高層住戸は、供給が実質的に打ち止めされた在庫です。
私はこの高度地区規制を、勝手に 「45mの盾」 と呼んでいます。マンション的にも子の高さを超えると防犯防空のシステムが必要になったりややこしいのでどのマンションも15階建までなのはそういうことです。
不動産の値段は需要と供給で決まります。需要が細っても、供給が制度で凍結されていれば、価格は崩れにくい。 京都の中心部で、市の高さ規制のせいで新築が増やせず、既存マンションの価格が異様に粘っているのと構造は同じです。
ただし、ここには両刃の刃があることも正直に書いておきます。上に引いた鑑定士の解説も、高度規制は延床面積を減らし、高層階の分譲価格・賃料を取り逃すため、土地の評価額を下げうると指摘しています。一方で、良好な景観が街のステイタスを上げ、長い目で見れば個々の不動産価値を上げることもありうる、とも。
つまり、高度規制は「土地」には逆風、「既存の眺望住戸」には追い風。 既に建っている湖ビューの部屋を持っている人にとって、これほど心強い規制はありません。
眺望は法律で守られない。だから「制度で守られた眺望」は強い
「琵琶湖ビューを気に入って買ったのに、目の前にマンション建った。裁判できる?」ほぼ無理です。
日本において眺望権は法律上に規定された権利ではなく、裁判でもほとんど認められていません。 日照権と比較されがちですが、扱いは全然違う。日照が侵害されると心身の健康に直接影響しうるのに対し、眺望の侵害は「心理的充足感を阻害するに過ぎない」——これが司法の基本的な立ち位置です。
景観についても、有名な国立マンション訴訟(最高裁 平成18年3月30日)で、地域住民が景観を享受する利益(景観利益)は法律上保護に値するとしつつ、「景観権」という権利性までは認められないと示されています。
眺望の利益が保護されうる要件として、大阪地裁 平成20年6月25日判決は次の4点を挙げています。
- 眺望価値のある景観が存在すること
- 当該場所の価値が景観眺望に依存していること
- 眺望保持が周辺の土地利用と調和を保つこと
- 眺望享受者が当該場所を占有する正当な権限を有すること
一般に住宅地における眺望は、別荘地や観光地における眺望ほどには格別の価値を見出しがたい。
「住宅地の眺望は、別荘地ほど大事じゃない」と裁判所が言っている。
実際の裁判例を並べると、温度感がわかります。
| 事案 | 結論 |
| 木曾御岳山の眺望を目的に建てた社員保養別荘の100m先にリゾートマンション建設(大阪地裁 H4.12.21) | 損害賠償 認容(受忍限度超え) |
| 隅田川花火が見える部屋を購入 → 同じ業者が近くに別マンション建設(東京地裁 H18.12.8) | 減額のうえ認容(信義則違反) |
| 「全室オーシャンビュー」の触れ込みで購入したらベランダ外に電柱と送電線(福岡地裁 H18.2.2) | 売買契約の解除 認容(説明義務違反) |
| 28階建てを購入 → 約80m先に同じ業者が39階建てを建設(大阪地裁 H20.6.25) | 請求 棄却(将来眺望が変わる可能性を事前に明示していた) |
「将来眺望が変わる可能性があります」と重要事項説明で言われていて、その場で何も質問しなかった。それだけで負けている。 説明会の録音、パンフレット、営業のメール。証拠がなければ立証は非常に困難です。
まぁ今どき眺望は変わるかもよって絶対言うので勝てないと思います。
なお、法的に眺望を確保したいなら眺望地役権(民法280条)という手はあります。「この範囲の土地には○m以上の建物を建てない」と隣地所有者と取り決める権利で、登記すれば第三者にも対抗できる(民法177条)。……できます。理屈上は。個人が湖岸一帯の地主とこれを締結するのは、まあ、現実的ではありませんが・・・
滋賀県民以外の方へ:眺望の価値は「湖」ではなく「抜け」に宿る
ここまで琵琶湖の話をしてきましたが、県外の方はこう思っているはずです。「うちの街に琵琶湖ないんだけど」。大丈夫です。移植可能な原則はあります。
原則① 価値があるのは「対象」ではなく「抜け(開放感)」 琵琶湖ビューが高いのは、琵琶湖が美しいからだけではありません。視界の先に、永久に建物が建たない20kmの空間があるからです。これは、大きな河川、大規模公園、海、大学キャンパス、霊園、幹線道路の広い空、飛行場、農業振興地域などで代替できます。「向こう側に何も建たない」が価値の正体。いわゆる永久眺望というやつです。
逆に、都心の「〇〇ビュー」を謳う物件で、その〇〇との間に空き地や低層の古い建物がある場合、それは眺望ではなく時限爆弾です。特に東京タワービューの寿命の短さは異常。
原則② プレミアムは階段状に発生する 自分が検討している物件で「何階から視界が抜けるか」を突き止めてください。抜ける直前の階は、眺望プレミアムを払わずに済む一番おいしいポジション(住み心地は劣りますが、リセール時のコスパは良い)。抜けた直後の階は、プレミアムを払う価値がある一番安いポジション。この2つの階を特定できたら、あなたはその物件で一番賢い買い手です。 前の建物が取り壊されて、他の建物が建つ可能性はあります。戸建てでも地上げされて再開発されるかもだし、賃貸やオフィスビルなら建て壊して土地をまとめて再建築もありえます。分譲マンションならそうそうないかもなので半永久眺望といえるかもしれません。
そしてもう一つ、「所有者」も見てください。 前面が公有地(公園・道路・河川敷)なら鉄壁。前面が民間の駐車場やパチンコ店の平置き駐車場なら、それは「まだ建っていないだけの土地」です。パチンコ屋そのものが潰れて駐車場ごとマンションに・・・
広い土地はマンションになる なぜならあなたの家もマンションじゃないですか 目の前の土地がマンションになぜならない?と思っておきましょう。
営業さんが積極的には言わない、湖ビューの残念な現実
タテマエをたっぷり書いたので、本音いきます。(ここからは私個人の見解と偏見を多分に含みます)① 「レイクビュー」の定義がガバガバ
バルコニーの端まで行って首を左に90度ひねると、ビルとビルの間に湖面が15cmくらい見える。これも堂々と「琵琶湖眺望」と書かれます。書いた人に悪気はないんです。見えてるから。
私はこれを 「見えるフリ物件」 と呼んでいます。判別法は簡単で、リビングのソファの高さに座って、正面を向いたまま湖が見えるかどうか。 立って首をひねって見えるものは眺望ではありません。首の運動です。私生活で見えないとあんま意味ない。
② 北向きは寒い。
これは本当に寒い 琵琶湖ビュー=北向きが多い、というのが大津の構造です。そして北向きは日照が取れない。冬の湖岸は「比良おろし」が吹きます。眺望と光熱費はトレードオフであり、この点だけは南向き派に完全に負けます。内見は真夏じゃなくて1月の午後にしてください。太陽は意外とあります。琵琶湖が抜けてるので暗さはそこまで感じないですがこれも南向きほどではもちろんないですね。
③ びわこ虫
琵琶湖に近いということはヤツから逃れられません。琵琶湖から1km位離れてても出てくるのでどうせ食らうなら最前列で琵琶湖を楽しみましょう。見えないのにびわこ虫だけでてくるのいやじゃないですか。まぁ最近暑すぎて言われないと気が付かないぐらいにまで減ってるのが救い。でもまた増えるかも。
④ 眺望に、人は慣れる。
これは私の完全な主観ですが(個人の感想です)、琵琶湖ビューの家に住んで3年目の人が「毎日感動している」ことは、あまりありません。感動は薄れる。でも資産価値としては残り続ける。
これって、実は眺望を買う一番マトモな理由だと思うんですよ。「毎日感動したいから」ではなく、「感動しなくなった後も、売るときに市場が評価してくれるから」買う。 冷たい言い方ですが、これが一番失敗しない動機です。買う人は初見ですからね。
で、いくらまで払っていいのか ――実需購入者の目安表
ここまでの全部を、財布の話に落とします。基準は「同一マンション内、または極めて条件の近い非ビュー住戸の価格」。 そこからの上乗せ率で考えます。
| 眺望のグレード | 追加で払っていい目安 | 判断基準 |
| Sランク:フル湖ビュー+前面が公有地or湖岸+駅徒歩10分以内+築浅or管理良好 | +15〜25% | リビングから座って一望。前面に建築余地なし。制度的にも高さ規制あり |
| Aランク:フル湖ビューだが駅距離or築年に難 | +10〜15% | 眺望は完璧。ただし流動性に不安 |
| Bランク:部分ビュー(湖面が窓の一部に入る) | +5〜10% | 香港研究の「部分ビュー+11%」が上限の目安 |
| Cランク:低層階・前面に建築余地あり・首をひねって見える | +0〜5% | これは資産価値ではなく生活満足度。回収前提で買わない |
- 海外研究のレンジ(水辺・開放眺望で概ね5〜25%、香港のフルビュー約22%、部分ビュー約11%)
- 大津の実データ(パデシオン大津レイクビューの方角別差**+35.5%、階数差+52.5%**)
ダメです。 あの35%には階数・面積・角部屋・間取り・売出時期が全部混ざっている。眺望単独の効果ではありません。統制された研究のフルビュー+22%が、眺望だけを取り出した数字としては最も信頼できる。だから実需の安全圏は+10〜15%、頑張って+25%まで。
予算が足りないときに「眺望を諦める」のは正解。 予算が足りないときに「駅距離を諦めて眺望を取る」のは、ほぼ間違い。
眺望プレミアムは市況が悪化すると縮みます(香港研究でも、弱い市況では部分ビューの効果が統計的に不明瞭になったと報告されています)。駅近は市況が悪化しても縮みません。
不況が来たとき、最初に切り捨てられるのは「気持ちよさ」です。眺望は、景気のいいときにだけ高く売れるオプション。 土台は必ず駅と管理で作ってください。
滋賀の価格なら4000万を5000万にして琵琶湖ビューにしよう!と言えるかもですが、東京で何とか振り絞って通勤圏内に8000万、眺望はあきらめるか・・・となるのは想像しやすいです。眺望は大事ですが結局はオマケ。滋賀でも今後インフレが続き、金利が上がっていけば余裕がなくなってきて眺望の価値は相対的に落ちることもありえます。
戸建てって基本眺望ないのにみんな基本文句いわない。そんなもんですよ。
琵琶湖ビューのマンション特集
ぶっちゃけほとんどないです。琵琶湖最前列は
プレサンスロジェ大津京レイクヴィラだけ。
あとは部屋の高さと方角によっては遠くに琵琶湖が見えるかなあといったもので琵琶湖ビューの希少性が伺えます。この物件も細くてなんとか新築できたという印象があります。
この物件もさすがに隣のプラウド大津京に比べて規模感もないし選ぶ理由が・・・と思っていましたが、現在新築唯一の琵琶湖ビューということで価値が高まってきました。すごい差別化パワー。

この景色は代えがたい価値 花火大会ももちろんOK
シエリアシティ大津におの浜の東向きとか、とビワリーヒルズこと関西圏最大級・JR新快速停車駅・駅徒歩1分プロジェクト(仮名)の東向きは少し先に琵琶湖が見えますが、その間の土地は商業施設や工場などあり、永久眺望とは言えないので注意です!
どうしても琵琶湖ビューがよければ、中古も視野に入れてご検討ください。
お金があればプレサンスレジェンド琵琶湖、駅から歩いてもいいならブリリア琵琶湖大津京が絶景です!
おわりに
長々と数字を並べてきましたが、最後に一番大事なことを書きます。眺望に資産価値があるかどうかを決めているのは、景色の美しさではありません。「その景色が奪われないこと」です。
琵琶湖ビューが強いのは、湖が綺麗だからじゃない。440万年前からそこにあって、これから先も誰も埋め立てられず、大津市が45mの高さ規制で湖岸を守り、対岸まで20km何も建たないからです。美しさは条件の一つでしかなくて、本体は「不可逆的な希少性」のほう。
実際駅近に琵琶湖ビューが建てられる土地はもうほぼありません。
そしてこれは、湖のない街でも同じです。大きな公園の前、広い河川の前、絶対に建て替わらない神社仏閣の隣。「もう二度と作れないもの」の隣を買った人が、10年後に勝ちます。
琵琶湖ビューは資産価値になります。ただし、価値があるのは「見える部屋」ではなく、「10年後も見えていて、駅から歩けて、管理が生きている部屋」です。この順番だけは、絶対に間違えないでください。
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[スムラボ編集部より] 本ブログ記事の情報は投稿日時点のものです。現在の販売情報は物件公式サイトをご参照下さい。
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